研究課題/領域番号 |
24224001
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
齋藤 政彦 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80183044)
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研究分担者 |
山田 泰彦 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00202383)
太田 泰広 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10213745)
望月 拓郎 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (10315971)
吉岡 康太 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40274047)
野海 正俊 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80164672)
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研究期間 (年度) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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キーワード | 可積分系 / パンルヴェ方程式 / 相空間 / モジュライ空間 / 量子コホモロジーとミラー対称性 / リーマン・ヒルベルト対応 / Floer 理論 / Bridgeland安定性 |
研究実績の概要 |
齋藤は, 代数曲線上の特異点を持つ放物接続や放物ヒッグス束のモジュライ空間の代数幾何学的構造を研究した. S.Szaboと放物ヒッグス束のモジュライ空間の標準座標の理論をBNR対応を用いて完成させ, 放物接続の場合への拡張を試みている. 稲場は分岐のある放物接続のモジュライ空間の研究を行った. 野海は楕円超幾何函数に関して, 多重級数及び多重積分の和公式・変換公式の研究を行い, BC型楕円超幾何級数の新しい双対変換公式を得た. 山田は名古屋との共同研究で, 量子パンルヴェ方程式のラックス対を構成し, その対称性および共形場理論との関係を明らかにした. 吉岡は, 代数曲面上の連接層に関するBridgelandの安定性条件を調べ, 特にアーベル曲面上の安定層のモジュライ空間の双有理幾何を研究し, 川又-Morrisonのcone予想を証明した. 望月は, 混合ツイスターD 加群の理論を用いて, Landau-Ginzburg 模型に付随する量子D加群の退化を研究し, 弱Fanoトーリック多様体のミラー対称性に関するGiventalの同型から局所ミラー対称性に付随する量子D 加群の同型が得られることを見出した. 森は,端末的3次元射影多様体の端収縮射 f: X → Zを特異ファイバーC の近傍をf(C) を含むZの超曲面切断の構造を決定する形で分類を行った. 藤野はアフィン多様体に対して対数的小平次元の劣加法性予想を完全解決した. 細野は導来同値であるが双有理同値ではないカラビ・ヤウ多様体についてミラー対称性の視点から研究を行った. 戸田は, 3次元カラビヤウ多様体上の2次元捩れ層を数えるDT 型不変量の生成関数の保型性予想を考察し双有理幾何との関係を明らかにした. 小野は深谷氏らとLagrange 部分多様体のFloer 理論についての研究を続け, 理論の基礎付けを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの研究課題について、順調に成果がでている. 研究分担者および連携研究者は10件の国際共著論文を含む38件の査読付き論文を出版し, 投稿中のプレプリントも多数存在する. また, 研究代表者, 分担者, 連携研究者は, 61件の国際学会での招待講演を含む65件の招待講演を行った. その中でも特筆すべき事として, 2014年8月にソウルで行われた国際数学者会議(ICM)で, 研究分担者の望月がWild harmonc bundles と twistorD加群の研究で, 全体講演(Plenary Lecture) に招待される栄誉を得た. また, 連携研究者の戸田も代数幾何学部門の招待講演を行った. 望月はFrance数学会から, ホロノミックD加群に関する講義録を出版した. Springer Lecture Note in Math. から 混合twisterD加群について大部の著書を出版する予定である. 本科研費の一部支援により, フランスとベルギーにおける2件の国際研究集会を含めて5件の代数幾何学および可積分系分野における国際研究集会を共同開催した. また, 神戸大学で夏に3週間M. Mulase氏と, O. Dumitrescus氏を招へいし, ミラー対称性や量子コホモロジーに関わる量子曲線の最近の展開についてサマースクールを開催した. また, 3月に京都大学数理解析研究所で国際研究集会「Representation Theory, Special Functions and Painleve Equations」を開催し, この分野における最近の研究について情報交換を行った. このほかにも, フランス, ベルギー, 台湾の研究者との共同研究, 国際研究集会の開催など国際的な研究協力も進めた. 関連する研究集会等の予定を適宜HPにて掲載し関連研究者へ情報提供した.
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者, 研究分担者, 連携研究者はそれぞの分野で研究を進めるとともに, 国際共同研究を積極的に進める. 研究課題(a)に関しては, 不分岐の不確定特異点に関する基礎理論の構築を進める.また,見かけの特異点の理論を用いて,接続の具体的な普遍族の構成やスペクトル曲線との関係, モノドロミー保存変形の微分方程式の記述等を詳しく記述する. また, 近年の可積分系の理論の発展, 特殊多項式, ミラー対称性との関連についても, 研究を進める. 研究課題(b)に関して,高次元代数幾何の研究を進めるとともに, 極小モデル理論, ベクトル束のモジュライ空間, 安定性条件, ミラー対称性とカラビ・ヤオ多様体との関係, シンプレクテック多様体の変形理論, 接続とHiggs束のモジュライ空間のラグランジュアンファイブレーションの構造の研究を行う. また, H27年度には,箙理論についてのサマースクールをリヨン大学の研究者と共同して神戸で開催する予定である.また, 平成28年初頭に, 高次元代数幾何の国際研究集会を神戸と京都で開催する予定である. 研究課題(c)については,現在までの研究を続けるとともに,量子不変量や共形場の理論との関係について新しい理論が報告されているが,これらを検討して他分野の研究との関係を明らかにしたい. フランス, 台湾, アメリカ, ハンガリー, ロシアの研究者との国際共同研究を進める.
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