研究課題/領域番号 |
24224011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
余田 成男 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30167027)
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研究分担者 |
石岡 圭一 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90292804)
向川 均 京都大学, 防災研究所, 教授 (20261349)
水田 亮 気象庁気象研究所, その他部局等, その他 (80589862)
田口 正和 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (50397527)
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研究期間 (年度) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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キーワード | 気象学 / 気候変動 / 成層圏-対流圏結合系 / 極端気象 / 予測可能性 |
研究概要 |
研究手法をもとに構築された 1)データ解析班、2)大気循環力学モデル・統計理論班、3)大気大循環モデル・数値予報モデル班、4)気象研究所気候モデル班、の4班からなる研究体制のもとに、多重の時間空間スケールで変動・変化する成層圏-対流圏結合系での極端気象について、現象の記述と力学過程の理解から最先端モデルによる予測まで総合的に研究を推進している。それぞれの班の平成25年度の具体的な研究実績は以下の通りである。 1)データ解析班:○エルニーニョ・南方振動(ENSO)および成層圏準二年周期振動(QBO)に関連した北半球冬季成層圏の年々変動を再解析データを用いて調べ、冬季平均の極渦の形状および成層圏突然昇温の頻度が、ENSO/QBOに非線型に依存することを明らかにした。○同様の解析をCMIP5データにも拡張し、再現性の検討した。 2)大気循環力学モデル・統計理論班:○成層圏突然昇温を記述する低次元モデルにおいて、カオス的時間変動の性質が不安定周期軌道の性質から理解しうることを示した。○領域気象モデルを用いて成層圏―対流圏結合系における内部変動に関する理想化数値実験を行い、赤道QBOに似た振動現象を得た。 3)大気大循環モデル・数値予報モデル班:○アンサンブル再予報実験を行い、2009年の分裂型成層圏突然昇温の予測可能性について解析した。○成層圏における惑星規模波の反射とブロッキング発生との関連について事例解析を行った。○中間圏赤道域半年周期振動の年々変動について力学的解析を実施した。 4)気象研究所気候モデル班:○産業革命前と完新世中期の気候再現実験を行い、オゾンの化学・輸送過程を(含む/含まない)実験で結果を比較し、完新世中期の極域の地上気温変化に太陽軌道要素の変化に伴うオゾンの変化が寄与している可能性を指摘した。○熱帯対流圏界層や中高緯度低気圧発達について、気象研気候モデルと他のCMIP5実験結果との比較解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究手法をもとに構築された4つの班それぞれについて、各班内で分担者・連携研究者が密に協力して研究を推進し、論文発表も順調に行っている。また, 4つの班全体での相互的なデータ/研究情報の共有もスムースに行えている。また、領域気象モデルを用いた熱帯域の成層圏―対流圏結合系の内部変動に関する理想化数値実験を開始し、これまで想定してこなかった振動現象の下方影響を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
4つの班に分けた研究体制は現在まで十分効果的に機能しているので、基本的にこの体制を維持して今後も研究を推進していくが、気象研究所気候モデル実験が安定的実行段階に入ったため、大気循環力学モデルの開発と実験を促進させるために、ポスドク1名の雇用場所を気象研究所から京都大学大学院理学研究科に移して、両班の研究推進を図る。
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