研究課題
研究手法をもとに構築された 4班からなる研究体制のもとに、多重の時間空間スケールで変動・変化する成層圏-対流圏結合系での極端気象について、現象の記述と力学過程の理解から最先端モデルによる予測まで総合的に研究を推進している。各班の平成27年度の研究実績は以下の通りである。1)データ解析班:○気象庁長期再解析データおよびCMIP5の多数モデルデータにおいて、成層圏突然昇温(SSW)の頻度やその際の極渦形状を調べ、CMIP5モデルデータではSSW(特に極渦が伸長・分裂するもの)の頻度がより少ないことを示した。○気象庁1ヶ月予報データで SSWの予測可能性を検討し、極渦が伸長・分裂する際の予報誤差が大きいことを明らかにした。2)メカニスティックモデル・統計理論班:○モデルの高速化のために、大規模並列環境に対応した球面調和関数変換ライブラリを開発した。○赤道大気を理想化した鉛直二次元モデルにおいて、湿潤対流と重力波に伴う運動量輸送過程を明らかにした。3)大気大循環モデル・数値予報モデル班:○再解析データの解析により、SSW後に形成される対流圏循環偏差が惑星規模波の成層圏での伝播特性に依存することを見出した。○アンサンブル予報実験結果の解析から、2009年の成層圏極渦分裂の予測には、その直前における成層圏惑星規模波の振る舞いを正しく予測することが重要であることを見出した。○衛星データを用いて、SSW前後の下部熱圏領域までの全球的子午面循環の変動特性を解析した。4)気象研究所気候モデル班:気象研気候モデルを用いて、オゾンの化学輸送過程を含んだ最終氷期最盛期の気候再現アンサンブル実験を実施し、オゾンの化学輸送過程を含まない場合との比較を行った。熱帯対流圏界層における上昇流とその気候変化ついて、気象研気候モデルと他のCMIP5実験結果データとの比較解析を行った。またこのモデルで予報されるSSWについても対流圏との関係を調べた。
2: おおむね順調に進展している
(理由)研究手法をもとに構築された4つの班それぞれについて、各班内で分担者・連携研究者が密に協力して研究を推進し、論文発表も順調に行っている。また、4つの班全体での相互的なデータ、研究情報の共有もスムーズに行えている。
(今後の推進方策)4つの班に分けた研究体制は現在まで十分効果的に機能しているので、この体制を維持して今後も研究を推進していく。各班の研究情報の共有のために、本研究課題の分担者・連携研究者全員参加の会合を年に数回開き、研究の方針性など常に議論していく。また、京都大学に設置しているサーバーを必要に応じて増強していくことによって、4つの班相互でのデータ共有も常に円滑に行えるようにしていく。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 10件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 13件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (75件) (うち国際学会 48件、 招待講演 13件) 図書 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
J. Geophys. Res. Atmos.
巻: 121 ページ: 80-94
10.1002/2015JD023359
J. Meteor. Soc. Japan,
巻: 94 ページ: 7-24
0.2151/jmsj.2016-001
巻: 121 ページ: ページ数なし
10.1002/2015JD024581
Atmospheric Science Letters
巻: 17 ページ: 109-114
10.1002/asl.633
Journal of the Meteorological Society of Japan
巻: 94 ページ: 25-39
10.2151/jmsj.2016-002
巻: 17 ページ: 33-38
10.1002/asl.595
Journal of the Atmospheric Sciences
巻: 73 ページ: 789-806
http://dx.doi.org/10.1175/JAS-D-15-0201.1
Monthly Weather Review
巻: なし ページ: 印刷中
10.1175/MWR-D-15-0010.1
Atmos. Res.
巻: 166 ページ: 60~69
10.1016/j.atmosres.2015.06.008
京都大学防災研究所年報
巻: 58B ページ: 125-136
J. Meteor. Soc. Japan
巻: 93 ページ: 199-213
10.2151/jmsj.2015-011
Tellus A
巻: 67
10.3402/tellusa.v67.26536
Nature Communications
巻: 6
10.1038/ncomms9268
Atmos. Chem. Phys.,
巻: 15 ページ: 6767-6774
10.5194/acp-15-6767-2015
Atmos. Chem. Phys.
巻: 15 ページ: 297-304
巻: 72 ページ: 1466-1483
10.1175/JAS-D-14-0235.1
SOLA
巻: 11 ページ: 85-89
Journal of Fluid Mechanics
巻: 772 ページ: 80-106
10.1017/jfm.2015.209
巻: 93 ページ: 443-457
http://doi.org/10.2151/jmsj.2015-029