研究課題
最終年度である本年度は、主に以下のような機能性ゲル研究を行った。1. 天然高分子含有ダブルネットワーク(DN)ゲルの医療応用生体高分子ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸を導入した、強靭性と生体活性が付与されたDNゲルについて、各種生体活性を詳細に検討した。ヒアルロン酸含有DNゲルの皮下埋植試験を行った結果、6週間経過後も周囲の組織に顕著な炎症は確認されなかった。また軟骨前駆細胞ATDC5 をこれらゲル上で培養すると、これら細胞が外部刺激なしに軟骨細胞へと分化することが各種シグナル解析によって示唆された。本結果は、これら生体高分子含有DNゲルが良好な生体適合性と軟骨再生能を有し、医療応用に適していることを示唆する。2. 純粋に生体高分子からなる異方性強靭ゲルポリカチオンであるキトサンとポリアニオンであるヒアルロン酸を高温・高塩濃度下において混合し、純水で透析することにより、生体高分子からなるイオン結合ゲルを創製した。本ゲルは、自己修復性や易リサイクルを有し、また化学修飾を一切していないことから生体適合性、生分解性も期待できる、医療応用に適した強靭なゲルである。このことにより、イオン結合による強靭ゲルのコンセプトを天然高分子系に拡張した。3. ラメラ相の構造制御による機能化一方向に配向した多重円筒状のラメラ層を内部に有するゲルを創製した。本ゲルは、円筒の軸方向と垂直方向には良溶媒中で大きく膨潤するが、逆に軸方向には収縮するという極めて特異な異方的膨潤現象を示した。また本膨潤挙動は膨潤と脱膨潤のサイクルにより繰り返し起こることが分かった。本現象は、ゲル内におけるポリマーネットワーク層の等方的膨潤挙動とラメラ二分子膜の面積不変性を考えることで説明出来る。さらに、本ゲルの多層円筒状ラメラ相が物質拡散を阻害する効果を利用し、擬一次元拡散による薬物徐放挙動の実現に成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 1件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (126件) (うち国際学会 21件、 招待講演 20件) 備考 (1件)
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