研究課題
最終年度は,これまでに高度化・深化させた10種類のナノ・マイクロ熱物性センシング技術群をベースにした他に例のない工学的応用と熱物性データの構築を行った。特に下記に示す4つの項目について重点的に開発を行った。1.高精度な物質輸送性質センシング:前年度までに開発したソーレー強制レイリー散乱法の測定精度を向上させ,古典的なTaylor法などでは測定が原理的に不可能な高濃度トレハロース水溶液や高粘性な3成分ポリマー溶液に適用し,物質輸送性質のデータベースの構築を行った。さらにソーレー係数および熱拡散係数の濃度依存性を明らかにした。2.ナノ・マイクロ界面評価とデバイス制御への応用:積層材料の熱伝導率変化を,新しく開発したナノ・マイクロ熱物性センシング技術により測定した。さらにフリップチップ実装基板の劣化加速試験を行い,金属原子の拡散と合金化による界面熱抵抗変化を明らかにした。また,自己組織化単分子膜を用いた界面特性制御技術を確立し,細胞の選択的パターニング技術へ応用した。3.DNAシーケンサへの応用:DNAナノポア計測の高空間分解能化を目的として,透過電子顕微鏡を使用した電子ビーム照射による数nmのナノポア形成技術を確立し,DNA通過観測を実施した。同時に,時間分解能向上のために標識蛍光体の最適化を図った。DNAやナノ粒子の通過過程の制御のため,メンブレン界面の帯電状態や相変化メンブレンの相状態に依存したダイナミクスを観測し,静電的・熱流体的相互作用に基づく解釈を施した。4.ナノ電子デバイスへの応用:金ナノ粒子やナノポリスチレンビーズを用いて相変化薄膜の光局所加熱を行い,発生する対流計測により,局所温度評価を実施した。金やシリコンと比較し,相変化薄膜が高効率な加熱源となることを見出した。物性が大きく異なる2種類の相変化薄膜を積層化し,相変化閾値計測を通して,界面熱抵抗の評価を試みた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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