研究課題
同一画素で,神経伝達物質・光・蛍光を検出可能な,マルチモーダルセンサをアレイ化し,細胞に存在するイオンチャネルの動き,働きを弁別できるマルチモーダルバイオイメージセンサの実現を目指している. 製作を目指すマルチモーダルバイオイメージセンサは一般的な細胞の大きさに比べて十分小さな解像度 1ミクロン以下をめざし,フレームレートは,神経伝達物質が放出する時間数ミリ秒以下を目指している.平成25年度はCMOS 0.18ミクロンルールにより画素ピッチ1.2ミクロンの設計を終え,試作を行った.水に対するパッシベーションや電極できる限り平坦化するための特許の出願も進めている. またコラムパラレルのAD変換器をチップ内に内蔵することで,2000フレーム毎秒で画像を取得できる見通しが立ち,この機能も試作したチップに内蔵してある.神経伝達物質に関しては,平成25年度には アセチルコリンと カリウムイオンの,脳スライスからリアルタイム放出する様子を撮像できることを確認できた. このリアルタイム放出を非標識で観察できたことは世界的にも画期的なことである. フィルタレス蛍光検出のために,最適化した濃度プロファイルで32×32画素のセンサを実際に試作した.その結果,従来のデバイス構造に比べ10倍以上性能を持つ 800対1のダイナミックレンジで蛍光と励起光を分離できることを確認した
1: 当初の計画以上に進展している
当初予定していた 1ミクロンピッチ,数ミリ秒の時間分解能をほぼ達成できる,チップの試作を行なうことができ,さらに励起光と蛍光の分離のダイナミックレンジ拡大の新しい手法を実際に実験し実証できた. そればかりでなく,ラットの脳のスライスから神経伝達物質を可視化できることを実際に実証することができたので,当初の予定より伸展していると判断した.
平成26年度は, 平成25年度に試作を完了したチップを,実際に駆動させ,当初の設計通り時間分解能0.5ミリ秒,ならびに空間解像で1.15ミクロンで駆動できるか検討する.特にが画素ごとの感度のばらつき,ならびに時間的なドリフトに関して検討する必要がある.また,昨年度実際に試作をし,ダイナミックレンジを拡大できた,センサにより, イオン・光・蛍光を測定することができることを実証し,それぞれのクロストーなど検証する.また,神経伝達物質として重要な ATP (アドノシン三リン酸)のイメージングの検討を進める.ATPは生物体で用いられるエネルギー保存および利用に関するヌクレオチドであり,生体にとって重要な物質である.
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