研究課題
同一画素で,生体関連物質・光・蛍光を同時に検出することが可能なマルチモーダルセンサをサブミクロンピッチでアレイ化し,細胞に存在するイオンチャネルの動き,働きを弁別できるマルチモーダルバイオイメージセンサの製作を目指し本研究を実施している.上記研究目標を達成するため,平成27年度は,下記のように3つの成果を得ることができた.下記の成果は最終年度にむけて当初の目標を達成する大きな成果と考える.第一はフォトゲートタイプを活用した光学的フィルタを用いない蛍光センサにおいて,励起光源に対して2000分の1の微弱な蛍光を定量的に検出することができたことである.下限は本学のLSI製造設備で製造できる暗電流とほぼ等しく,イメージセンサメーカプロセスを活用することで更なる改善が見込める.第二はCMOS 0.18ミクロンルールで作製した,画素ピッチ2ミクロンで製作したイオンイメージセンサにおいて,従来の5倍の高速フレームレート(172flame/sec)で画像を取得できたことである.第三には同一画素で,イオン画像と蛍光画像,励起光画像が同時取得可能なマルチモーダルイオンイメージセンサの試作を行った.20ミクロン程度の空間分解能であが,その可能性を示せたことである.また,同一画素でイオン,蛍光情報を同時に取得する為の課題も抽出でき,その結果を反映させることと上記の3つの成果を元にして,当初の目標であるイメージセンサの作製を最終年度に進める.
2: おおむね順調に進展している
同一画素で,生体関連物質・光・蛍光を同時に検出することが可能なマルチモーダルセンサをサブミクロンピッチでアレイ化し,細胞に存在するイオンチャネルの動き,働きを弁別できるマルチモーダルバイオイメージセンサの製作を目指して本研究を進めている. 上記の目標を達成するためには,3つのクリアすべき課題が存在する.1つ目は,マイクロメートルレベルの空間分解能でイオンを動画像として検出できるかであるが,この件はH27年度の研究において実現できた.2つ目は光学フィルタを使わないでイオンなどの蛍光ラベルを検出できることが可能であり,且つ励起光・蛍光弁別性能があるかという課題に関して,H27年度の成果で2000:1と下限が暗電流レベルで検出できたことで,順調に進んでいるといえる.また,3つ目に,同一画素でイオンと蛍光情報を検出し,その動画像イメージセンサを実現することであるが,現在,20ミクロンの空間解像度であるが実現できたことで,順調に進んでいると言える.一方,空間解像度を10ミクロン以下にするためには,製造プロセスにおいて,センサエリアの開口プロセスにおける課題が生じることが明確になったので,最終年度は1画素中にイオン検出部と蛍光検出部をそれぞれに分けて製造することで目標を達成するために最適であると考え,最終年度はミクロンレベルの空間解像度でイオンと蛍光を検出するイメージセンサデバイスの実現を図る.
今年度製作したフィルタレス蛍光イメージセンサの性能評価を行い,最終年度は最適なパッケージの開発を進め,海馬スライスなど細胞内外のイオンや神経伝達物質の挙動の計測を行い本センサが細胞機能検出のために有効であることを実証する.また,昨年度1つの大きな課題も明らかにできた.それは,本研究で提案してきた1つの画素センサで蛍光とイオン情報を同時に捕らえるセンサの画素ピッチを数ミクロン以下に近接すると,蛍光波長分解特性が劣化することである.さらに,空間解像度を10ミクロン以下にするためには,製造プロセスにおいて,センサエリアの開口プロセスにおける課題が生じることが明確になった.最終年度にあたり,当初の目標である細胞活動を観察するための,蛍光情報とイオン情報を同時に捕らえるための“イオン・蛍光マルチモーダルイメージセンサシステム”を実現するため,半導体先端プロセスを活用し,4ミクロンピッチ程度で,イオンセンサと光学フィルタを使用しない蛍光センサを集積化したマルチモーダルイメージセンサを実現することを目標とし,本プロジェクトの当初の目標を達成する.
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
IEEE SENSORS JOURNAL
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http://www.mmbio.jp/research_project.html