研究課題/領域番号 |
24226013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大岡 龍三 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90251470)
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研究分担者 |
加藤 信介 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00142240)
飯塚 悟 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (40356407)
山中 徹 鹿島建設株式会社(技術研究所), 都市防災・風環境グループ, 上席研究員 (60416716)
菊本 英紀 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (80708082)
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研究期間 (年度) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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キーワード | 建築環境・設備 / 自然現象観測・予測 / 大気現象 / 防災 |
研究実績の概要 |
本研究では、健康・安全かつ環境負荷の小さい都市空間の形成を目的として、マクロな気象情報からミクロな気象情報をダウンサイズする手法の開発、あるいはミクロ解析の結果からマクロな解析モデルの予測精度向上を図り、大気汚染や雲形成などを含めたマルチスケール・マルチフィジックスな高解像度気象情報予測プラットフォームの構築を行う。特に、本年度は主に下記の課題に取り組んだ。 ①都市上空風の風速分布を継続的に計測し、基礎データを蓄積するとともに、都市内気流特性の解析における接近流のモデル化精度へ大気の条件が与える影響を明らかにした。 ②境界層風洞を用い、市街地空間における流れ場の可視化および乱流計測を実施した。熱線風速計に加え、Particle Image Velocimetryを用いて面的な流れ場の計測を行い、都市境界層における運動量の輸送過程に関して詳細な乱流統計量を収集した。 ③高密度市街地空間を対象としたLarge-Eddy Simulation (LES)による乱流統計量のデータベースを作成した。これを用いて運動量の乱流フラックスであるレイノルズストレスの物理機構、モデル化について検討を行った。 ④LESの流入条件として適切な流入変動風を与えなければならないが、人工的に生成される流入変動風は目標とする乱流統計量を精度良く再現できる一方、解析領域流入直後に無視し得ない非物理的な乱れの減衰が生じる。そこで、統計量だけでなく瞬時的な物理制約式も満たす改良型流入変動風作成手法を開発し、その妥当性評価を行った。 ⑤気候変動を考慮した建築熱負荷計算のため、全球気候モデルによって予測された気象データの領域気象モデルを活用した力学的ダウンスケーリングによって、気候変動と都市気候の局所性を考慮した将来の気象データを作成した。また、その気象データを用いて、建物熱負荷の気候変動による将来変化を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
観測や実験、数値解析によって計画している基礎データの収集が進んでいる。また、気象予測プラットフォームの要素技術の開発を進めるとともに、その応用解析にも着手している。
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今後の研究の推進方策 |
屋外実測や風洞実験を継続し、様々な条件のもとでの屋外環境の実態に関するデータの蓄積を行うことで、統計的有意性を増し、信頼性の高いデータベースの構築を行う。これらのデータベースを基に、気象予測の要素モデルを開発し、気象情報プラットフォームのソルバー部分を構築する。
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