研究課題
1 小胞体膜上での特殊スプライシング機構の解析: Flag-XBP1uをHEK293T細胞に発現し、Flag抗体により免疫沈降をするとSRP54, SRP72, Sec61a, Sec61bが共沈降してくることが分かり、両者が相互作用していることが明らかとなった。また翻訳停止を解析するためのレポーターを作製した。2 寄生虫排除に関与するIRE1βの生理機能解析: 寄生虫感染と同様の効果をもつIL33を腹腔内投与すると、野生型マウスでは小腸杯細胞の過形成、ムチン産生の増大が認められるが、IRE1βKOマウスではそれらが強く抑制された。さらにムチン産生を電気泳動で調べた所、IRE1βKOマウスでは、ムチン前駆体が蓄積していることが明らかとなった。3 糖尿病発症におけるIRE1αの生理機能解析: 遺伝子型IRE1α(flox/-)とIRE1α(-/-)のマウスについて、血糖値、血中インスリン濃度、グルコース負荷テストを経時的に行なった結果、生後12週目から血糖値の上昇、血中インスリン濃度の低下、耐糖能の低下などが観察され糖尿病を発症することが判明した。また、IRE1α(flx/flx)のβ細胞株を樹立し、Cre を発現するアデノウィルスの感染によりIRE1α欠損を起こし、その時のインスリン産生、遺伝子発現を調べた結果、インスリンの成熟過程が影響を受けること、PDI family の発現に大きな影響が出ることが分かった。
2: おおむね順調に進展している
寄生虫排除にIRE1βが小腸で重要な役割をになっていることが分かって来た。また膵島β細胞でのインスリン産生においてはIRE1αが重要であることが明らかとなった。これらの結果はマウスと組織、あるいは培養細胞両者を用いて解析しており、今後分子レベルでの詳細な解析が可能となった。順調に進展している。
1 小胞体膜上での特殊スプライシング機構の解析: XBP1uのHR2領域が相互作用するタンパク質の候補として、シグナル認識粒子(SRP)とトランスロコンを見出したので、両分子がどのように関っているかをin vitroのタンパク質合成系と培養細胞レベルの両者を用いての解析研究を継続する。2 寄生虫排除に関与するIRE1βの生理機能解析: 野生型の小腸杯細胞では、IL33投与時には、細胞数が40-50%程度増え、かつPAS染色の領域面積が増大する。一方、IRE1βKOマウスでは、細胞数の増加を認められず、細胞あたりのムチン量の増大も顕著に抑えられる。細胞数の増加がIRE1βKOマウスで抑えられているかどうかを明らかにするために、杯細胞のムチン産生に必須なAGR2の染色も行い、杯細胞の同定をより正確に調べる。またアポトーシスが起きているかどうかの可能性も検討する。3 糖尿病発症におけるIRE1αの生理機能解析: 膵β細胞株MINS-IRE1α(fl/fl)とMINS-IRE1α(ΔR/ΔR)(IRE1αのRNase欠損型)を作製し、両者のプロインスリン及びインスリン発現量を転写レベル、蛋白質レベルで調べ分泌量が激減している理由を明らかにする。またインスリン合成量に差がないかどうかをインスリンのパルスチェイスラベルを行って明らかにする。
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