研究課題
1 小胞体膜上での特殊スプライシング機構の解析: 翻訳レベルで一過的ポージングを起こす野生型Flag-XBP1u、さらに強いポージングを起こすFlag-XBP1u[S255A]、ポージングを起こさないFlag-XBP1u[w256A]をHEK293T細胞に発現し、SRPやトランスロコンとの結合を調べた所、SRP経路に入るためには、ポージングが必要であることが明らかとなった。2 寄生虫排除に関与するIRE1βの生理機能解析: 寄生虫感染と同様の効果をもつIL33を腹腔内投与すると、野生型マウスでは小腸杯細胞の過形成、ムチン産生の増大が認められるが、IRE1βKOマウスではそれらが強く抑制された。IRE1βKOマウス由来の杯細胞では、小胞体シャペロンであるBiPの発現が強く誘導され、ムチン前駆体の蓄積により小胞体ストレスが誘起されていると考えられた。電子顕微鏡観察からも小胞体の肥大化が観察されこの結果を支持した。3 糖尿病発症におけるIRE1αの生理機能解析: IRE1α(flx/flx)とIRE1α欠損を起こしたIRE1α(ΔR/ΔR)のβ細胞株を樹立し、その遺伝子発現、蛋白質の発現を調べた結果、インスリンの立体構造形成に関ると考えられる5種のPDI family遺伝子を見出した。
2: おおむね順調に進展している
小胞体ストレスセンサーIRE1αの膵島β細胞における役割に関しては、マウス個体からβ培養細胞を樹立するところで非常に苦労し予想外に時間がかかってしまったが、全体的には計画しているすべてのテーマは順調に進んでいる。
1 小胞体膜上での特殊スプライシング機構の解析: XBP1uのHR2をN末に配置すると通常のシグナル配列として機能するかどうか、またHR2とポージング配列までの長さと膜への局在化効率との関係を調べ、小胞体内への輸送がXBP1u 蛋白質の場合どのように制御されているのかを明らかにする。2 寄生虫排除に関与するIRE1βの生理機能解析: IL33投与の時に、上皮細胞の細胞分裂頻度をBrdUの取り込みにより、またアポトーシスの頻度をカスパーゼ3の切断をみることにより調べる。これにより野生型とIRE1βKOマウス由来の小腸上皮で杯細胞数がIRE1βKOで抑えられている原因を探る。またIRE1αKOマウスにIL33投与をした場合に、杯細胞の過形成やムチン産生に影響がでるかどうかを調べる。3 糖尿病発症におけるIRE1αの生理機能解析: IRE1α欠損を起こしたIRE1α(ΔR/ΔR)のβ細胞株に、IRE1α あるいはXBP1sを発現させると、インスリン分泌が正常に戻るかどうかのrescue実験を行う。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (27件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (3件)
Sci. Rep.
巻: 6 ページ: 24217 (1-8)
10.1038/srep24217
J. Ocul. Pharmacol. Ther.
巻: 31 ページ: 570-584
10.1089/jop.2014.0076
J. Cell Sci.
巻: 128 ページ: 1762-1772
10.1242/jcs.164111
生体の科学 増大特集「細胞シグナル操作法」(医学書院)
巻: 66 ページ: 490-491
http://bsw3.naist.jp/courses/courses207.html
http://bsw3.naist.jp/eng/courses/courses207.html
http://bsw3.naist.jp/kouno/