研究課題
本研究は、植物工場においてプレッシャープローブで採集した細胞溶液を探針エレクトロスプレーにより、直接、現場で質量分析を行うシステムを開発し、植物生理情報を制御要素として農業環境制御を行うスピーキング・セル・アプローチ(Speaking Cell Approach)(SCA)法を創成することを目的としている。栽培作物のリアルタイム質量分析を実行し、環境要素変化に伴う代謝変化を植物生理学(理学的)・栽培生理学(農学的)に基づき解明して、省エネを考慮したSCA を確立することによって、食料生産の効率を格段に増大させ、日本が迎えつつある食料危機の回避、食の安全性の確保により、国民を守ることを目指す。電導性イオン液体をプレッシャープローブキャピラリー内のシリコンオイルに混合することにより、質量分析におけるイオン化効率が格段に向上し、シグナル強度が向上した上に、ノイズレベルも減少した。このイオン化質量分析法をpico pressure-probe-electrospray-ionization mass spectorometry (picoPPESI-MS)と命名した。トマトトライコーム細胞での代謝物分析を行うことで、picoPPESI-MSを用いての細胞レベルでの質量分析を確立した。水耕状態のトマト植物体に水耕養液にカルシウム塩を過剰に与えることで、トマト果実の尻腐れ病の発生を誘導した。その際、尻腐れの発生がどのように起こるのか、発症機構について解明した。プレッシャープローブによる水分生理情報を同時に計測することで、いかに代謝物の濃度変化と細胞膜の崩壊が起こるのか解明でき、環境要因の変化とトマト果実の代謝変化を同時に関連付けることが可能となった。このことから、スピーキング・セル・アプローチとしての有効なツールとしてpicoPPESI-MSの利用の可能性が提案できる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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