研究課題
本年度は、「新しい芳香族反応の開拓」として、C-N 結合切断型 Stille カップリングの開発、C-O/C-N 結合切断型村橋カップリング反応の開発、芳香環の直接的水酸化・アミノ化反応の開発に取り組んだ。C-N 結合切断型 Stille カップリングの開発およびC-O/C-N 結合切断型村橋カップリング反応の開発では、C-O/C-N 結合切断によるクロスカップリング反応を達成した。C-O/C-N 結合を含むフェノールやアミン誘導体は自然界や機能性分子に多く見られ、入手容易、低コスト、低毒性などの利点を持っているため、ハロゲン化物を用いない新規アプローチとして注目されている。これらの成果はNature. Commun.およびChem. Eur. J. (HOT PAPER )に掲載された。芳香環の直接的水酸化・アミノ化反応の開発では、アリール銅アート中間体の、銅中心の酸化還元特性を活用した芳香環への直接的ヘテロ原子導入反応を考案し、水酸基/アミノ基導入反応を達成した。ビスアミド銅アート塩基 ((TMP)2Cu(CN)2Li2) より生じる中間体 (ArCu(TMP)(CN)Li2) に酸性プロトンを有するヒドロペルオキシド (ROOH) を作用させることで、目的の水酸化体が再現性良く、高収率にて得られることを見出した。本反応の反応機構を DFT 計算を用いて解析したところ、銅上での配位子交換の後に、ペルオキシド O-O 結合が銅に酸化的付加し、続く還元的脱離を経て酸素原子が導入される反応経路が得られた。理論と実験の両面から本反応は銅の 1価→3価→1価 の酸化還元を鍵とする反応であることが示唆された。反応機構解析を基に、触媒量の銅による水酸化/アミノ化反応へと展開することにも成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 謝辞記載あり 9件) 学会発表 (28件)
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