研究課題
平成28年度は、代謝・輸送過程が関与する複雑な薬物間相互作用(DDI)の生理学的薬物速度論(PBPK)モデルによる予測を目的とした。また、ヒト薬物動態の個体間変動を含めた予測を可能とし、他の薬剤にも適用可能な方法論の確立も目指した。まず、スタチン類とシクロスポリンAとのDDIを記述するPBPKモデルの構築を行った。その結果、シクロスポリンA併用時のスタチン類の血中濃度上昇は、輸送トランスポーターOATPsの阻害のみで説明でき、代謝阻害の影響は小さかった。次に、複数の OATPs/CYP3A 基質薬物について、それらの阻害薬によるDDI臨床試験から得られた暴露量変動を元に、肝臓内濃度を決定し肝消失の律速過程を反映するパラメータ(β)および輸送阻害による血中濃度上昇の程度を決め肝取り込みに占める受動拡散の割合(Rdif)の推定を行った。その結果、各薬物のin vivoにおけるβとRdif値の範囲の推定に成功した。一方、薬物の臓器内濃度推移解明を目的にヒトの陽電子放射断層画像撮影(PET)試験を推進し、新規PETプローブとして[18F]ピタバスタチンの合成法を確立した。また、合成した[18F]ピタバスタチンのPETを用いて、ラットにおける体内動態特性と臓器分布に関する検討に着手し、主排泄経路が胆汁排泄であることが確認された。また、個人間変動や遺伝的多型によるばらつきをPBPKモデルに組み込み、大量の患者をコンピュータ上で再現するバーチャルクリニカルスタディ(VCS)を用いて、ヒト薬物動態の個体間変動まで含めた予測が可能な方法論を構築した。つまり、好中球減少・遅延性下痢を引き起こすイリノテカンとその主要な代謝物について、PBPKモデルを構築しVCSを実施した。その結果、既存の臨床報告から得られた遺伝子多型と副作用との関係をVCSにより良好に再現可能なPBPKモデルの構築に成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
国立研究法人理化学研究所 研究紹介 http://www.riken.jp/research/labs/rinc/sugiyama/理研杉山特別研究室ホームページ https://www.sugiyamalab.com/
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