本研究では、複数拠点のクラウド基盤を連携させた学術連携クラウド上での負荷分散技術に関する研究を行うことを目的としている。平成27年度は、クラウド基盤間の負荷分散を実現するために必要なアプリケーション性能モデルを構築するために、Googleデータセンタのアプリケーションの実行履歴解析、およびクラウド基盤上でのアプリケーション性能評価を実施した。また、クラウド基盤間での負荷分散を実現するためのソフトウェアを開発した。 Googleデータセンタのアプリケーション実行履歴解析では、平成26年度までに実施したアプリケーション実行履歴解析の結果に対して、新たに考案したクラスタリング手法を用いた解析を行うことにより、Googleデータセンタ上で実行されたアプリケーション群の資源利用パターンが5種類に分類できることを明らかにした。 学術連携クラウド上での適切な負荷分散を実現するためには、アプリケーションの特徴やクラウド基盤の状態に応じて、拠点間でデータや処理を移送することが必要となる。クラウド基盤上でのアプリケーション性能評価では、学術連携クラウドの複数のユースケース(具体的には、Hadoopクラスタ、Dockerコンテナ、Kubernetesクラスタ)を定義し、性能評価を実施することにより、アプリケーション性能モデル構築のための知見を得た。 負荷分散ソフトウェア開発では、複数のパブリッククラウドからユーザのアプリケーションに適したクラウド基盤を選択するためのソフトウェアを開発した。本ソフトウェアは、複数のクラウド基盤上でベンチマークプログラムを実行し、実行結果をデータベースに保存するとともに、これらの結果を用いてユーザの要求する条件を満足するクラウド基盤を選択することが可能である。
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