研究課題/領域番号 |
24240013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 克己 京都大学, 情報学研究科, 教授 (00127375)
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研究分担者 |
ADAM Jatowt 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (00415861)
大島 裕明 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (90452317)
加藤 誠 京都大学, 情報学研究科, 助教 (00646911)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ウエブ情報学 / 情報検索 / 意図推定 / データマイニング / ユーザインタラクション |
研究概要 |
1.検索意図指標の開発 検索意図としての典型性(typicality)・斬新性(novelty) については、コンテンツ記述量と社会認知量の多寡およびこの2種の量のギャップに着目して、斬新性・意外性の高い情報の検索を行えるような検索手法を開発しその有用性を実証した(情報処理学会論文誌2件等発表)。多様性(diversity)については、Webページ間のリンク情報解析に基づき、内容が多様なページ群からリンクされているページのランク値をあげるランキングアルゴリズム(Diversity-Based HITS)を開発し、その有用性を検証した(国際会議SocInfo2013で論文採択)。さらに、理解容易性、抽象性・具体性、主観的・客観的、網羅性等の検索意図については、これらを、認知的検索意図として整理し、このような検索意図を有するユーザが実際にどの程度存在するか、検索にあたり、このようなユーザが実際どのような検索行動(クエリ作成・投入)を行っているかなどをインターネット調査を行った。さらにこの調査に基づき、このような認知的な検索意図を反映した検索クエリを自動的に発見する手法も開発した。この認知的検索意図に基づく検索については、ウエブ・情報検索関連のトップコンファレンスであるWWW2014およびACM SIGIR国際会議にて論文採択された。 2.Web検索行動からの検索意図抽出 ユーザの検索行動を分析して検索意図を抽出する研究を行った。具体的には、視線情報からの注目語抽出に基づく検索意図のリアルタイム推定、Web検索時の行動情報を用いたクエリ修正タイプの予測を行い成果を得た(情報処理学会論文誌2件等発表)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、Web情報検索における多元的な検索意図指標の確立、各検索意図指標にもとづく検索方式の開発、および、ユーザの検索行動データからの検索意図の自動検出方式の開発である。多元的な検索意図指標の確立のために、Web情報検索の検索意図を、(1) コンテンツ内容に関わる検索意図(トピック適合性、トピックとは独立な認知的検索意図)、(2) タスク達成のための状況的な検索意図、および、(3) 社会的支持に基づく検索意図の3種に分類して、多元的な検索意図指標の精査を行い、各種の検索意図に応じた検索方式の開発を行ってきた。平成25年度までに、Web情報検索における検索意図指標の体系的な分類を行うと共に、多元的な各検索意図に基づく検索方式の開発を順調に行えている。平成25年度の研究成果は、具体的には、ウエブ、情報検索に関するトップコンファレンスに論文採択されている(WWW2014国際会議、ACM SIGIR2014国際会議等)。
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今後の研究の推進方策 |
多元的な検索意図指標体系の確立のため、特に、タスク達成のための状況的な検索意図指標の開発と検索方式の開発を重点的に行っていく。すでに、検索意図が「○○を△△したい」といったタスク達成を目標とした情報検索を実現するためのタスク検索に関する研究を25年度から開始しており、今後は、このようなタスク検索方式の研究を進める予定である。さらに、平成25年度に行った、認知的な検索意図に対応できる検索クエリの発見技術を、発展させ、より一般的な検索意図に対応するクエリ発見技術を開発していく予定である。
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