研究課題/領域番号 |
24240028
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村瀬 洋 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (90362293)
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研究分担者 |
井手 一郎 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (10332157)
出口 大輔 名古屋大学, 情報連携統括本部, 准教授 (20437081)
目加田 慶人 中京大学, 工学部, 教授 (00282377)
高橋 友和 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 准教授 (90397448)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 画像処理 / 低品質画像 / 車載カメラ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,車載カメラ画像,監視カメラ画像などに見られる超低品質な画像を認識し,ユーザーに結果を適切に情報提示する手法を実現することにある.人間が見ても認識できないような超低品質画像を機械が精度よく認識するための基礎研究を体系的に行う.今後ますます画像認識による人間の支援は重要性が増すが,本研究はそれを実社会に安全に取り入れていくために大切となる.
本年度は,以下の成果が得られた.(1) 監視カメラ画像で得られた1枚の低解像度の人物画像から,学習ベースの超解像処理により高品質化する前処理手法を提案した.前年度に顔対象に提案した複数フレーム超解像手法は人物画像ではフレーム間の位置あわせが困難なために利用できない.そこで複数フレームを利用する代わりに人物特有の性質を事例により学習する学習ベースの超解像手法を提案した.評価実験により,本手法の有効性を確認した.更に低解像画像から車両台数など物体の個数を,物体検出することなく特徴から直接回帰により推定する新しい手法を提案した. (2)低品質な画像から歩行者を精度良く検出するためには,歩行者自身の多様性を学習すると同時に,誤検出を低減するために背景画像の多様性も学習する必要がある.場所毎で異なる背景知識を持たせた環境適応型の歩行者検出手法を提案した.実験により検出精度が向上することを示した.(3)車載カメラで認識した周囲環境をドライバーにタイムリーに提示するために,視認性の推定技術(物体の見落としやすさを推定する技術)が必要となる.今年度は特に,視認性は個人ごとに異なる性質を持つことに着目し,個人適応型の視認性推定手法を提案し,実験によりその有効性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低品質な画像を精度よく認識するための手法を目指し,研究を進めている.全体としてはほぼ予定通り進捗しているが,一部の計画でプログラミングに時間がかかり,その部分をH26年度に持ち越した.それ以外はほぼ計画通りで,以下の点を達成した.(1)人物画像を対象に,人物画像特有の知識を用いた学習ベースの超解像手法を人物認識の前処理手法として提案した.(2)さまざまな環境からも精度良く歩行者を検出することが可能な位置情報を用いた環境適応型の歩行者検出手法を実現した.これにより誤検出を低減することが可能となった.(3) 視認性の推定には個人性があるため,個人ごとにパラメータを学習する個人適応型の視認性推定手法を提案し,実験により有効性を示すことができた.
以上の点から,一部持越しがあるものの,研究全体としてはおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
低品質な画像を認識する手法を体系的に開発するために,以下の方針で研究を推進する.(1)より低品質な画像しか得られない赤外線センサアレイなど,通常のカメラ以外のセンサから得られた低品質画像に対する前処理手法を開発する.(2)低解像な画像からでも判定できるような人物属性を認識する手法を開発する.例えばキャリーバックや,リュックサックなどの持ち物の所持判定手法などを開発する.(3)対象の見易さを画像処理により判断する視認性の推定手法において,例えば周辺視や中心視など人間の特性を考慮した視認性推定手法に発展させていく.これら3つの観点から研究を発展させる予定である.
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