研究課題/領域番号 |
24240039
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
石川 准 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (60192481)
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研究分担者 |
松原 聡 東洋大学, 経済学部, 教授 (00173865)
湯瀬 裕昭 静岡県立大学, 経営情報学部, 准教授 (30240162)
菊池 尚人 慶應義塾大学, メディアデザイン研究科, 特任准教授 (30599501)
松原 洋子 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (80303006)
山口 翔 名古屋学院大学, 商学部, 講師 (90614123)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電子図書館 / 電子書籍 / アクセシビリティ / 視覚障害 / 読書 |
研究概要 |
■視覚障害当事者による共同自炊型電子図書館の実証実験 25年度はさらに参加者を追加募集し80人の視覚障害者を参加者に迎えて実証実験を行った。24年度同様、本の裁断とスキャナによるデジタイズとOCRによるテキスト化は情報提供施設の職員が行った。クラウドストレージと参加者の特定のローカルフォルダを同期する仕組みを用いて、自動的にテキスト化された書籍が参加者のPCに転送される方式も24年度と同じである。参加者の能動性は、本の購入とOCRによりテキスト化された本の校正において発揮してもらう設計も変更はない。最小限の人的支援により読書者の満足度がどの程度上昇するのかを調べるために、25年度からは目次と見出しは人間が校正することにした。また見出しにはマークダウンを挿入するようにした。参加者から譲渡されテキスト化した書籍数の合計は、通算で900冊を超えた。24年度に引き続き参加者へのアンケート調査を実施した。質問項目は24年度と共通する項目に加えて、新たに25年度に追加したものもある。現在その解析作業を行っている。 ■音声および点字ディスプレイによる能動的読書を可能にする読書プレイヤの有効性に関する実証実験 簡易マークダウンを挿入したテキストファイルを読み込むと、ホットキーで見出し移動できるように拙作のフリーソフトウェアのAltairを改良し利用者に提供した。アンケート調査でその有効性についても質問した。より詳細なデータを得るために、ヒヤリングの実施を予定している。 ■フランスの国立図書館の調査 フランスの国立図書館が行っている書籍のデジタイズとその音声読み上げサービスについて現地調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
■視覚障害当事者による共同自炊型電子図書館の実証実験 ・「共同自炊型電子図書館」実証実験という大仕掛の実証実験を設計・準備し、実証実験が順調に動いている。・順調に共同自炊方式で書籍のテキスト化が行われている。・アンケート調査、ヒヤリング調査を実施し、有用な知見が集まっている。・OCRの誤認識率について詳細な分析を行うことができている。・読書の質を高めるための各種ツールの開発が順調に進んでいる。・プリントディスアビリティの書籍へのアクセスを促進する政策について、フランス等で現地調査を実施し、日本の政策に参考となる有用な知見を得た。 ■音声および点字ディスプレイによる能動的読書を可能にする読書プレイヤの有効性に関する実証実験 ・簡易なマークダウンを挿入したテキストファイルで見出し移動できるように拙作の音声エディタを改良し参加者に提供し、その有効性についてフィードバックを得ることができている。 ■中間成果報告 ・本研究プロジェクトについて講演、シンポジウム、論文・解説等で紹介したところ、学術的および実践的観点から大きな反響があった。・参加者を中心に多くの視覚障害者、盲ろう者から本プロジェクトの実践的側面に高い評価が寄せられており、本実証実験の成果を用いた持続可能な「共同自炊型電子図書館」の正式運用への期待が高まっている。
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今後の研究の推進方策 |
■視覚障害当事者による「共同自炊」型電子図書館の実証実験(25年度から継続) 25年度の実証実験の結果に基づき、参加者のコミットメントとインセンティブを高めるための方法やルール、サービス等を改良し、それらの効果を検証する。 OCRの誤認識をコーパスデータを用いて修正する自動校正ツールを開発し、実証実験に投入する。技術革新が「共同自炊」型電子図書館実証実験への参加行動と満足度に及ぼす効果を測定する。 ■読書プレイヤのナビゲーションユーザインタフェイスの研究 従来のDAISYプレイヤと比較して、新しいナビゲーションユーザインタフェイスを持つプレイヤを用いた読書の有効性について評価研究を実施する。
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