研究課題/領域番号 |
24240041
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齋木 潤 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (60283470)
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研究分担者 |
山本 洋紀 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 助教 (10332727)
杉尾 武志 同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (60335205)
野村 理朗 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60399011)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 認知制御 / 個人間変異 / fMRI / 脳波測定 / 遺伝子多型解析 |
研究概要 |
認知制御の神経基盤について、認知制御に関する課題成績の個人差を大規模サンプルで検討する実験と、視覚作働記憶、行動制御課題、両眼闘争、パターン認識という個別の認知課題の検討を継続した。大規模サンプルによる脳機能の個人差の検討は、MSITという認知の抑制機能を調べる課題を用い、課題時の脳活動、安静時の脳活動から得られるデフォルトモードネットワーク、構造画像から得られる脳の構造特性、遺伝子多型データ、BIS/BAS等の人格特性質問紙のデータの相互関連を解析している。現在までに、CHRNA4,DRD4の遺伝子多型と課題遂行時の脳活動に有意な関連が見出されている。今後、機能的結合性データ等との関連も検討するとともにサンプルを追加する予定である。個別課題については、視覚作働記憶では、刺激の選択的符号化、保持に関する脳波測定とともに、retrocue課題を用いた記憶内容の注意選択実験を実施し、記憶表象に対する注意の継時的切り替えにより全体としての記憶成績が向上することを見出した。行動制御については、マインドワンダリングが反応競合課題に及ぼす影響をtDCSを用いて検討し、DMNの活動がマインドワンダリングと関連することを見出した。また、MRI実験により瞑想時の注意制御過程の基礎的な検討を行った。両眼闘争については、両眼闘争事態における視覚意識の切替に関与する2種類の過程-レチノトピック、非レチノトピック-を発見した。非レチノトピックな過程を用いて意識と注意の相互作用を検討するfMRI実験を開始した。パターン認識については、表刺激を用いて、ローカル、グローバルの2種類の読解課題を行っているときの脳活動、及び課題切り替え時の脳活動を調べた。その結果、2課題では異なる脳領域が活動すること、また課題切り替えにおいて下前頭接合部が関与することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模サンプルによる個人間変異の体系的分析については、解析が進み興味深いデータが得られつつある。初期の結果は、国際会議などに発表できる段階に到達している。また、個別の課題のプロジェクトについても、すでに論文として公刊されたものも含め、成果が出始めている。異なる認知過程の相互作用を検討する課題の開発が現在遅れ気味であるが、当初計画をそのまま進めるのではなく、個別課題研究で上がってきた成果を基に課題を設計することを考えている。
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今後の研究の推進方策 |
個人間変異のプロジェクト、作動記憶、行動制御、両眼闘争、パターン認識の個別課題プロジェクトはこのまま推進する。課題の相互作用を検討するプロジェクトについては、作動記憶と知覚の課題に、注意の要因なども加味した方向性を今後探っていく。
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