研究課題/領域番号 |
24240042
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松井 茂之 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80305854)
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研究分担者 |
江口 真透 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (10168776)
手良向 聡 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20359798)
松浦 正明 帝京大学, 公衆衛生学研究科, 教授 (40173794)
森田 智視 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60362480)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 臨床試験の計画と解析 / 診断法開発 / ゲノムデータ解析 / 先端医療技術 / 個別化医療 |
研究実績の概要 |
H25年度は、前年度の研究で同定された基盤的な研究テーマに取り組んだ。早期探索試験での用量反応モデルに基づく用量探索法に関して、試験途中の結果に応じて各用量の患者数を調整する方法や二剤併用の場合の拡張について検討した。 ゲノムデータを用いた予後・治療効果予測関連遺伝子の解析では、階層混合モデルと経験ベイズに基づく関連遺伝子のランキングの方法、患者集団が複数ある場合のゲノム関連解析への拡張、クラスタリングや判別解析に関する基礎理論の検討を行った。 検証的臨床試験(第三相試験)のデザインと解析においては、有力な治療効果予測マーカーが存在する場合の治療効果プロファイルに応じた検出力基準の設定、適応的な解析プランを実施した後の治療効果推定におけるバイアス補正に関する基本的な検討を行った。 以上で開発した方法については、モンテカルロシミュレーションや数値計算、さらには公開データなどへの適用を通して性能評価を行った。さらに、実際の臨床研究への適用・実践研究として、がん治療や移植治療後の予後や副作用の予測を試みた。 本研究の主要な業績の一つと位置づけている個別化医療・予測医療のハンドブック(研究代表者が筆頭エディター)の執筆・編集作業が本格化した。このプロジェクトには海外の第一線の研究者が多く参加しており、全18章の構成である。H25年度は、12章分の原稿を収集し(内、6章分を研究代表者が執筆)、約半数の章のレビューが終了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度は対象とした研究テーマのほぼすべてについて基本的検討が開始され、そのうちの一部では統計的方法の開発や評価が行われ、論文化に至ったものや、その見通しが立ったものがある。また、本研究の主要な成果物と位置づけている個別化医療・予測医療のハンドブックの執筆・編集作業についても60-70%程度進捗できたと考えている。以上より、順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度は、H25年度の研究成果をもとに引き続き検討を継続し、同時に、関連する周辺の研究テーマ、未着手の研究テーマにも取り組む。最終年度(H27年度)の研究総括に向けて、初年度に掲げた研究テーマを網羅した形で総合的に取り組む。具体的には、分子標的治療の早期試験のデザイン、治療効果予測マーカーを用いた臨床試験のサンプルサイズ設計、第三相試験でのベイズ流と頻度流アプローチの融合についても取り組む。また、実地臨床におけるマーカー探索や仮説生成のための観察的研究でのゲノムデータ解析も視野に入れ、その方法論、並びに、臨床試験も併せたマーカーの開発ストラテジーについての検討も開始する。個別化医療・予測医療のハンドブックについては、H26-27年度の出版をめざして編集作業を粛々と進める。
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