研究課題
本研究の目的は、脳機能解析及び病態解明に利用できる遺伝子改変ラットを安価かつ容易に作製する方法を確立し、ノックアウトマウスと同様にノックアウトラットを研究リソースとして利用できる基盤を作ることである。この目的を達成するために、ラットES細胞の培養条件、相同組換えを用いた迅速な遺伝子改変方法、確実に生殖細胞への分化をするキメラ作製法の確立をおこなうこと、さらに当該ラットES細胞を用いてマウス・ラット異種動物間キメラ法によりラット配偶子の作出法を開発することを目指し研究をおこなった。本研究では、SDラット及びBNラットからES細胞を樹立し、相同組換えによる遺伝子改変をおこなう技術を確立した。さらに、両者のES細胞をラット胚に導入し、生殖系列遺伝するキメラ作製に成功した。本研究計画の第一目標である、ラットES細胞より安定的に遺伝子改変ラットを樹立する技術を確立した。もうひとつの柱であるラット・マウス異種間キメラを用いたマウスよりラットES細胞由来精子を取得するために、胚盤胞補完法が効率的に利用できるES細胞移植受容胚の開発をおこなった。キメラ動物の精巣組織が外来のES細胞由来のものになる精巣形成不全マウスをコンディショナルノックアウト法により作出した。この精巣形成不全マウス胚に蛍光タンパク質を発現するラットES細胞を導入したキメラ動物では、蛍光タンパク質を発現する精巣が形成され、この精巣内には精細管組織が認められ、精原細胞が出来ていることが確認された。一方、精巣上体に精子は確認できなかったため、現在伸長精子細胞と思われる細胞を用いて顕微授精をおこないラット個体が出来ることの確認をしている。このように、本研究は、当初予定していたラットES細胞をマウスに移植し、配偶子を作製する事を達成できた。今後、本技術を洗練させ、マウスに近い経費と労力で遺伝子組換えラットを作る技術を完成させたい。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 12件) 備考 (1件)
J Neurosci.
巻: 35(2) ページ: 843-52.
10.1523/JNEUROSCI.2170-14.2015.
Neuron.
巻: 85(2) ページ: 316-29
10.1016/j.neuron.2014.12.020.
Stem Cells Dev.
巻: 24(16) ページ: 1923-33
10.1089/scd.2015.0011
Front Behav Neurosci.
巻: 9 ページ: 134
10.3389/fnbeh.2015.00134. eCollection 2015.
PLoS One.
巻: 10(7) ページ: e0133663
10.1371/journal.pone.0133663. eCollection 2015.
J Neurochem.
巻: 6 ページ: 10090.
10.1038/ncomms10090.
巻: 10(12) ページ: e0145979.
10.1371/journal.pone.0145979.
http://www.bri.niigata-u.ac.jp/~cellular/