研究課題/領域番号 |
24240059
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
西垣 功一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10107378)
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研究分担者 |
小林 哲也 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (00195794)
木下 保則 埼玉大学, 理工学研究科, 技術員 (00375586)
相田 拓洋 埼玉大学, 理工学研究科, 講師 (10500001)
弥益 恭 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60230439)
大倉 正道 埼玉大学, 脳科学融合研究センター, 准教授 (70369172)
中井 淳一 埼玉大学, 脳科学融合研究センター, 教授 (80237198)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 微小細胞塊(mc) / 記憶 / 新型マイクロアレイ(MMV) / ゼブラフィッシュ / LMD / 細胞ネットワーク / シュードゲノム解析 / 分子基盤 |
研究概要 |
4年間の研究全体は、脳の局所領域について、学習の前後で時空4次元的にmcを単位としたときに神経細胞状態が物質的にどう変化するかを研究することにある。今年度の研究の中心は、1)新型マイクロアレイMMVを用いて脳の神経細胞塊からマイクロキューブ(mc)と称する微小塊を切り出し操作する技術の開発、2)mc中の極微量試料を検出するための技術の開発、3)今後、記憶学習を行なわせる生物試料(ゼブラフィッシュ,マウス,場合によれば線虫)の飼育、純系維持及び学習実験計画立案にあった。1)の脳細胞塊からmcを切り出しMMV中に整序する研究は、試料に成魚7日目前後のゼブラフィッシュを用い、頭部から約1mm角の塊を切出し、OCTコンパウンド包埋処理の後、マイクロトームによる超薄切片化(厚みは0.05mmを行ない、それをレーザーマイクロダイセクター(LMD)で1/2サイズのmc(0.1mm×0.1mm×0.05mm)に整序(位置情報保存)しながら細断した。これを我々が別のプロジェクト研究で開発したばかりの「サブナノリットル移送装置」を用いてMMVチップの微小ウエルに移し並べることにほぼ成功した。 次に2)として、MMVのウエル中に導入したmcの細胞塊をコラーゲナーゼの溶解液で処理し、細胞内成分を溶出し、特に今年度はmRNAを解析するためにシュードゲノム解析を実践し、MMV中において一連の操作が可能であることを示した。一方、細胞内に発現する微量タンパク質の検出を可能とする‘DNAタグペプチド’を実現するために標的タンパク(MGMTなど)特異的結合ペプチドの作製を促進した。最後に学習対象となる生物試料(ゼブラフィッシュ,マウス)については、純系個体の確保維持を行なうとともに、長時間行動追尾モニター装置の導入などを含めて学習方式の検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳の微小領域をさらに細かく分けて、mcを作製し、その領域全体が長期記憶において物質的にどのような有意な変化をするかを導き出すためには、まず、解析対象となる多数のmcを調製し操作し変化を検出する系の確立が優先される。今年度はmcの作製やその後のMMVウエル中での並列処理に道を拓いた。また、MMV中でPCRや酵素処理反応を含む、多段階操作によってシュードゲノム解析(mRNAの発現解析法)が可能であることも示された。この事および2年目以降に予定している生物試料による学習実験の下準備が進められた事を考えて、大旨90%程度の予定達成度であったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
‘脳のセンサス’法の確立という最終目標に向けて、今年度はMMVに整序したmcを試料としていくつかの具体的測定(mRNAやタンパク質の発現解析)を実現し、空間分布を得たい。一方で、ゼブラフィッシュやマウス(場合によっては線虫も)の学習記憶固定系を確立し、標品を得るとともに統計的・理論的意義を検討する。これを踏まえて3年目以降に予定しているmcの時空4次元解析に進めるようにする。
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