前帯状回(おもに24野と25野)と側頭葉領域の神経解剖学的投射様式を検討してきた。他の前頭葉の領域とか大きく異なり、側頭極皮質に非常に多くのラベルされた神経細胞が認められ、主な入力は側頭極皮質から受けていることが明らかになった。また、その他、嗅周囲皮質や嗅内皮質、さらに海馬傍回などからの入力を受けていることが分かった。大脳皮質との投射様式に加え、扁桃核との詳細な投射様式を検討するために、異なる蛍光を発するトレーサーを注入して、ある単一の神経細胞から複数の領域へ投射があるのか、扁桃核の異なる神経細胞群が異なる領域へ投射しているのかを確認した。現在詳細を解析中であるが、異なる神経細胞群が各々異なる神経回路を形成していることが示されてきている。 生理学的研究では、情動刺激に応答する神経細胞の記録場所の検討を行った。神経解剖学的データと照らし合わせることにより、前帯状回と側頭葉領域の情動行動における神経回路の役割を検討している。現在、いずれのデータも論文としてまとめている。
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