研究課題
「接近/回避フレーム」が内発的動機づけに影響を与える神経基盤を明らかにするため、成功すると得点がアップする「成功接近ブロック」、失敗すると得点がダウンする「失敗回避ブロック」、得点が変化しない「対照ブロック」を用意して、19名の被験者に全ての条件でストップウォッチ課題を行って貰った。課題遂行中の脳活動をfMRIによって測定し、成功接近ブロックと失敗回避ブロックとで、脳活動を比較したところ、成功したときに、成功接近ブロックにおいて獲得できる得点が高いことが分かったときも、失敗回避ブロックにおいて損失を回避できる得点が高いことが分かったときも、線条体を中心とする報酬系の活動は高かった。一方、成功/失敗の結果が分かったときの線条体の活動は、成功接近ブロックで成功して高い得点を獲得したときには高い活動を示したが、失敗回避ブロックで成功して高い得点の損失を回避したときには、そのような活動は見られなかった。これらの所見は、目標達成から遠ざかることからの回避よりも、目標達成に近づくことへの成功の方が、線条体を中心とする脳内の報酬系の活性化の度合いが大きいことにより、成功接近/失敗回避フレームの違いが課題に対する動機づけを変化させることを示唆している。内発的動機づけには、自らの能力についての自信(自己効力感)も大きな影響を与える。そこで、特性的自己効力感の質問紙指標と脳構造との関係を、voxel-based morphometry (VBM)法を用いて調べたところ、楔前部の灰白質体積が、特性的自己効力感の高さと有意な正の相関を示すことが分かった。この所見は線条体や前頭葉における内発的動機づけに、楔前部からの入力が影響を与える可能性を示唆するものであり、本成果は国内外の学会で発表した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.tamagawa.ac.jp/teachers/matsumot/matsumoto_lab_jp/