研究課題/領域番号 |
24240084
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
浅井 武 筑波大学, 体育系, 教授 (00167868)
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研究分担者 |
藤井 範久 筑波大学, 体育系, 教授 (10261786)
小池 関也 筑波大学, 体育系, 准教授 (50272670)
高木 英樹 筑波大学, 体育系, 教授 (80226753)
本間 三和子 筑波大学, 体育系, 教授 (80241800)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | スポーツ / 空力 / 流体 / ボール / 抵抗 / 抗力 / 揚力 / 風洞 |
研究概要 |
本年度は,南アフリカワールドカップ2010公式球(ジャブラニ)とブラジルワールドカップ2014公式球(ブラズーカ)を対象に風洞実験(筑波大学スポーツ風洞)を実施し,その抗力特性を比較検討した.その結果,ブラズーカの空気抵抗は,中速領域(15< U < 22 m/s)において,前回のジャブラニ(Wcup 2010公式球)より空気抵抗が小さくスピードが出やすいが,逆に高速領域では(22 < U < 35m/s),ジャブラニより空気抵抗が大きいことが分かった.この原因の一つとして,ボールパネルの縫い目(groove)によって,境界層の乱流遷移や渦の成長が促されていることが考えられた.パワーシュートのように,初速30 m/s(迎角度10度)で,20m前方のゴールにシュートされたとすると,ブラズーカ(0.751秒)は,ジャブラニ(0.737秒)より,約0.01秒遅く,約3%程度小さいボール速度で到着すると推定された.これは,選手にとって,それほど大きな差ではないと考えられた.一方,高速パスのように,初速20m/s(迎角度10度)で,20m前方のゴールにシュートされたとすると,逆に,ブラズーカ(1.168秒)は,ジャブラニ(1.261秒)より,約0.09秒速く,約10%以上大きいボール速度で到着すると推定された.このことは,選手にとって,中速領域において,ブラズーカは伸びる印象を与える可能性があると推測された.また,ブラズーカは,ジャブラニ等より中速領域での空気抵抗が小さく,その領域で大きな初速を得やすいボールであることから,中速領域を多用するパスのスピードが上げやすいことを意味し,高速パスサッカーに比較的適したサッカーボールであると推測できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
風洞のセットアップは,順調に進んであり,サッカーボール,平滑球,スキージャンプ等の基礎的空力試験も順調に進んでいる.ブラフボディ後方も可視化PIVシステムも稼働しており,実際に飛翔しているサッカーボールの非定常渦の可視化に取り組んでいる.サッカーボール,スキージャンプの数値流体解析モデルの開発は,すでに,終了しており,クラスターサーバーで,計算中である.計算結果可視化システムもインストールが,ほぼ終了しており,随時,計算結果を分析していく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
スポーツボール,平滑球等の空力特性の分析は,PIVによる可視化が,今後の中心課題となる.サッカーボール,スキージャンプの数値流体解析は,境界層のモデリングが一つの鍵で,実時間内で計算が終了する範囲で,できるだけ計算格子を細かくしていく必要がある.人体周りの空力に関する風洞実験は,マネキンの導入が不可欠であり,スキージャンプマネキンは,導入済であるが,今後は,ダウンヒル等に拡張していく必要がある.回流水槽等を用いた,スイムスーツの分析は,PIVとスイムロボットを組み合わせた実験も計画していく予定である.
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