研究課題/領域番号 |
24240091
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研究機関 | 京都学園大学 |
研究代表者 |
木村 みさか 京都学園大学, バイオ環境学部, 教授 (90150573)
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研究分担者 |
田中 宏暁 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (00078544)
山田 実 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30525572)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高齢者 / 身体活動量 / 体力 / 筋細胞量 / サルコペニア / 介護予防 |
研究概要 |
本研究では、幅広い体力年齢の高齢者に適応可能なサルコペニア予防と介護予防のための身体活動基準の作成・評価を行うことを目的としている。以下が平成25年度の実績である。 1.ベースライン調査からの課題、”亀岡study大規模データからADLレベル別の標準的な身体活動量を求める”については、平成24年度に実施できなった身体活動量調査を実施した。約8千人の亀岡市の地域高齢者に対して、3軸加速度計内蔵活動量計・簡易生活記録マークシートを配付し、約6千名からデータを回収できた。現在、この身体活動量に関するデータ整理・解析を進めている。 2.身体活動量アップがサルコペニアの予防・改善に繋がるかについては、平成24年度に、亀岡studyの10地区の希望者500名を対象に、3ヶ月間、教室型(週1回の教室開催および日誌の配付とフィードバック)、ポピュレーション型(歩数計、アンクルウエイトの貸与および日誌の配付とフィードバック)で、ウェイティング方式によるランダム化比較試験(RCT)による運動介入を行った。その結果、3ヶ月間の運動介入は、筋量、筋厚、筋力、歩行速度などを改善させることが明らかとなった。平成25年度は、この運動介入グループに対しては、活動量計と日誌を配付した非観視型運動介入で、日誌のフィードバックを行ないながら、3ヶ月に1回のフォローアップ教室を実施し、1年後(ベースラインの1年半後)の体力測定を実施した。その結果、運動継続グループの筋量や体力は非介入群に比べ明らかに高値を示す項目が多かった。 3.身体活動量の医療経済学面に及ぼす効果については、平成25年度は、運動介入群500名と非介入群500名に対する医療費・介護保険に関するデータ収集ができた。結果は現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、「幅広い体力年齢の高齢者に適応可能なサルコペニア予防と介護予防のための身体活動基準の作成・評価」を、亀岡市在住高齢者全員を対象とした大規模スタディで行うものである。 目標達成に向けての課題の中で、“亀岡study大規模データからADLレベル別の標準的な身体活動量を求める”について、これまでに実施できた調査は、先ず、要介護3~5を除く、65歳以上高齢者全員(18,231人)を対象にした生活圏域ニーズ調査(回答者13,141人: 72.1%、平成23年度)、この調査の回答者のうち介護認定者を除く約1,1000人を対象にした食事や運動習慣等を含めた追加調査(回答者約8000名:平成24年度)である。平成25年度は、この8000名に対し、順次、3軸加速度計内蔵活動量計・簡易生活記録マークシートを配付し、約5000名の身体活動量のデータが回収できた。地域全体の高齢者を網羅する身体活動量データを得ることができた意義は大きい。 次の課題“サルコペニア予防プログラムの作成とその効果の検証”については、平成24年度に亀岡市23地区のうち10地区を選び、希望者約1300名の体力測定(ベースラインの体力)を行なった後、ウェイティング方式によるランダム化比較試験(RCT)による運動介入を3ヶ月間行った。平成25年度は、平成24年度に続き、約1000名(運動介入群500名、非介入群500名)をフォローアップし、1年後(ベースライン1年半後)の体力測定を実施できた。また、この課題への参加者に限るが、医療費・介護保険に関する情報にもアプローチできる体制ができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度、25年度は、調査(生活圏域ニーズ調査約18000名、追加調査約11000名、身体活動量調査約8000名)と測定(筋量・体力測定約1300名)、介入研究(1000名)に追われた。データ整理については現在進行中のものも多い。 今後、研究を推進する方向としては、平成26年度には、先ず、今までの全てのデータを早急に整理・連結し、結果の解析を行なう。あわせて、介入グループに対しては、運動の継続支援を続けながら、その後の体力測定も継続的に実施する。また、平成26年度から27年度にかけて生活圏域ニーズ調査および運動習慣や食事等の追加調査も実施の予定である。 このような調査・測定データを用いて、横断的・縦断的な解析によって、「幅広い体力年齢の高齢者に適応可能なサルコペニア予防と介護予防のための身体活動基準の作成・評価」を行なう計画である。なお、当然ではあるが、これまで収集した各種データを学会発表、論文作成により積極的に公表していく。
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