研究課題/領域番号 |
24240092
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研究機関 | 独立行政法人国立健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
田中 茂穂 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 基礎栄養研究部, 部長 (50251426)
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研究分担者 |
徳山 薫平 筑波大学, 体育系, 教授 (00207565)
田中 千晶 桜美林大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40369616)
松下 真美 天使大学, 看護栄養学部, 助教 (60517316)
高田 和子 独立行政法人国立健康・栄養研究所, その他部局等, その他 (80202951)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エネルギー代謝 / 身体活動 / 個人内変動 / 褐色脂肪 |
研究実績の概要 |
1.褐色脂肪活性とエネルギー代謝の季節変動および日内変動(松下真美、高田和子、徳山薫平、田中茂穂、斉藤昌之(研究協力者)) 健常被験者36名を対象として、夏と冬に日常生活におけるエネルギー消費量や褐色脂肪活性に関する測定を実施して得られたサンプルの分析を進め、総エネルギー消費量や活動量計で評価した身体活動量については、褐色脂肪活性の有無による差はみられないことが明らかとなった。また、エネルギー代謝の日内変動に対する褐色脂肪の関与について、健常男性12名を対象にヒューマンカロリメーターを利用してエネルギー消費(EE)を24時間にわたって測定し、FDG-PET/CTにより評価した褐色脂肪活性との関係を調べた。これまでのデータとあわせて検討した結果、一日の総EEや睡眠時EEは褐色脂肪活性との相関はみられなかったが、食後のEEは褐色脂肪活性が高い被験者の方が高い傾向が見られた。 2.夕食の食事組成、就寝前の光暴露および運動する時間帯の違いが睡眠やエネルギー代謝に及ぼす影響(徳山薫平) 夕食での脂肪比率は睡眠時の酸化基質に影響するのみならず、睡眠の質と量にも影響した。また就寝前の短波長光暴露は睡眠には顕著な影響を及ぼさなかったが、翌朝の覚醒度低下や朝食後のエネルギー代謝亢進を低下させる効果を見出した。運動する時間帯の違いは24時間の脂肪酸化量に影響し、朝食前の運動に体脂肪酸化を促進する効果が強いことを見出した。食後熱産生の定量法の検討として、運動後余剰酸素消費を考慮した新たな方法を検討し、論文を投稿した。 3.小学生における身体活動量の季節変動および体重変化との関連(田中千晶、田中茂穂) 座位行動は、男女ともに、学校へ通っている時期に比較して夏休み中において有意に高かった。逆に、1.5メッツ以上の身体活動に関する多くについては、学校へ通っている時期に比較して夏休み中において有意に低かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二重標識水法の尿サンプルの分析が遅れていたが、ほぼ終了し、おおよその結果の解析まで進むことができた。同様に、ヒューマンカロリメーターの測定も、少しずつではあるものの進行し、結果に目途が立ちつつある。それ以外は、身体活動量の日内変動を除くと、分析がある程度進んでおり、最後の一年間で、かなり目標が達成できる見通しが立ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
1.夏と冬に日常生活におけるエネルギー消費や褐色脂肪活性に関する測定を実施して得られた結果について統計的解析を進め、エネルギー消費量や身体活動量の季節変動と褐色脂肪活性との関係について明らかにする。また、昨年度までから引き続き、ヒューマンカロリメーターを利用して、食後の熱産生や基質代謝を含むエネルギー代謝の日内変動と褐色脂肪活性の測定を実施し、両者の関連を検討する。 2. 食事組成(脂肪酸組成の異なる食事)、就寝前の光暴露(光りの種類と強度を変えて検討)、および運動する時間帯の違い(これまでの男性被験者での検討に加えて女性被験者での検討を加える)を引き続き検討する。 3.小学生における日常生活全般の座位行動および身体活動、運動習慣やテレビの視聴時間などの季節変動と、その期間の体重変化との関連について明らかにする。 4.小学生および成人を対象に、座位行動および身体活動の週内変動(平日および休日の比較)や日内変動(時間帯による違い)について検討する。 以上により、当初の計画はほぼ実現できるとともに、今後の課題もより明らかになると期待できる。
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