マルチチャンネルのセンサーを有する物理探査機器の利用により、遺跡の探査を迅速かつ高密度化する研究を進めた。 地中レーダーについては、15chのアレイ式の機材を導入し、試験を進めたが、車載して用いる製造者の提案する機材の使用法では水田や小区画の地割を有する日本の環境への利用に課題がおおいため、アンテナを7chに分離し、そりなどの治具を開発して運用することで、良好な成績を得た。また、位置決定においてはSLAMやGPSなどの計測技術を導入し、高密度化と迅速化を達成することができた。GPSについてはサブセンチメートルでの測位が可能であり、実用性が確認されたが、森林内などでの探査については計測が困難という課題が残るため、SLAMによる補助的な測位が必要と考える。今後、従来の地中レーダー探査法との比較検討により、その計測時間と効果の比較検討をおこなうこととしたい。 磁気探査も同様にセンサーのアレイ化をおこない、試験を進めているが、機器の開発・導入の遅れがあり、試験的な検討に留まった。しかし、実際の遺跡での試験的な計測では従来の手法と同様の成果を得ることができた。今後、迅速に計測をおこなうための補助機材の開発や作業の流れを整理し、手法を洗練させたい。 また、関連する電磁探査・電気探査においても迅速化、低廉化についての試験をおこない、計測方法による時間の短縮と成果の比較を試行した。今後更なる改良をしていく予定である。
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