研究課題/領域番号 |
24240114
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 康弘 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (70222065)
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研究分担者 |
水谷 法美 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10209760)
熊木 洋太 専修大学, 文学部, 教授 (10415036)
岡谷 隆基 国土地理院(地理地殻活動研究センター), 地理情報解析研究室, 主任研究官 (20581606)
小荒井 衛 国土地理院(地理地殻活動研究センター), 地理情報解析研究室, 室長 (50419876)
中埜 貴元 国土地理院(地理地殻活動研究センター), 地理情報解析研究室, 研究官 (60511962)
堀 和明 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (70373074)
小口 高 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (80221852)
野田 利弘 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (80262872)
須貝 俊彦 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (90251321)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 地形 / 地震災害 / 津波 / 地盤災害 / 海底活断層 |
研究概要 |
本研究は、①災害の分布と発生要因を精査し、②その地理分布を類型化し、③今後の災害予測や被害軽減のあり方を検討する。また、④被災地域における既存のハザードマップを検証し、⑤津波遡上や液状化予測の技術的限界を確認しつつ、ハザードマップの改良法を提言し、⑥リアリティを持つハザードマップによる防災地理教育への展開を図ることを目的としている。 具体的な検討内容は、(1)津波被災分布の検証、(2)液状化分布の検証、(3)ハザードマップの検証、(4)リアリティのあるハザードマップの開発の4項目に分けられる。24年度はデータサーバーを立ち上げ、項目ごとに各種地理情報をコンパイルし、現地確認調査を実施した。(1)では、津波の遡上範囲マップと詳細DEMデータから遡上高データを作成することを試みた。しかし、震災直後に撮影・公表された既存のオルソ写真は、地震による地殻変動等の影響による歪みがあり、遡上高計測にも大きな誤差が生じ、その問題解決は次年度の課題となった。(2)我孫子市を例に液状化を検討した結果、ハザードマップに記された事前予測に誤りがあることが明らかになった。これは土地条件の把握において、地形改変の履歴を考慮していなかったためであることが判明し、改良版を提案した。(3)様々なハザードマップを収集し、問題を検討する中で、切り土・盛り土境界の認定が不正確なため、実際の被害と食い違うことが分かり、認定手法の改善を写真測量学的に検討した。(4)ハザードマップをメッシュ型から、境界線を正確に示したポリゴン型に変更することで、リアリティを持たせる手法を検討した。町丁目ごとに微地形情報を整理し、両者の対応関係も検討した。しかし、既存の土地条件図は、人口改変地が一括されているため、航空写真判読による微地形分類を新たにし直す必要性があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度は、予定していた専任研究員の確保が困難になり、若干の遅れが生じたが、この点を除けば、各項目で着実な成果を得ることができた。次年度への検討課題となった2つの課題の内、オルソ化航空写真の位置精度の誤差に関する課題では、ヘルマート変換による位置の補正が検討され、目処がつきつつある。また、町丁目と微地形との関係の検証に関しては、濃尾平野を対象とした航空写真判読を進めている。 その一方で、現地調査により以下のような新たな発見もあり、研究のスコープが当初計画より格段に広がったことも特筆される。①電柱の倒潰方向から津波の流向を推定できること、②車載カメラ画像を使って津波の浸水高調査ができること、③高精度地上レーザーで計測される微細地形により津波による地形変化を推定できることなど。これらの成果についても論文化が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、前年度未解決の課題を整理し、ハザード評価をめぐる諸課題を改善することを試みることになる。具体的には、(1)津波遡上高評価においては、オルソ画像をヘルマート変換してより正確なものに改良し、遡上高を評価し直す。その結果から分布図を作成し、東北地方太平洋沖地震による津波遡上の地形学的な特徴を整理し、震源の海底断層の再検討にもつなげる。(2)液状化の分布限界ラインを評価するため、ボーリング資料や物理探査を実施する。(3)高精度な航空写真測量により地形改変前のDEMを作成し、計測誤差を明確にした切り盛り境界を認定するなどして、土地の履歴を反映した防災マップの高度化に取り組む。(4) 濃尾平野を対象とした航空写真判読を行い、地形改変前の土地条件を考慮したハザード評価や、町丁目単位に評価することの有効性を引き続き検討する。 各項目のデータは24年度に整備したデータサーバーに集め、共有化する。これにより将来的な新たなハザードマップの提案や、防災地理教育への展開へとつなげて行く。
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