研究課題/領域番号 |
24240115
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 茂 大阪大学, 文学研究科, 名誉教授 (30087150)
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研究分担者 |
片山 剛 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30145099)
山本 晴彦 山口大学, 農学部, 教授 (40263800)
佐藤 廉也 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (20293938)
磯田 弦 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70368009)
関根 良平 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (90333781)
財城 真寿美 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (50534054)
中辻 享 甲南大学, 文学部, 准教授 (60431649)
山本 健太 九州国際大学, 経済学部, 准教授 (40598190)
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研究期間 (年度) |
2012-10-31 – 2015-03-31
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キーワード | 土地利用・景観 / 地図 / 空中写真 / 気象観測資料 / 東アジア |
研究概要 |
平成25年度科研費によって、のべ8名がアメリカ議会図書館、同国立公文書館で資料調査を行うほか、中国、台湾、ラオスで各1名が現地調査を行い、さらに19世紀ソウルにおける気象観測地点の確認ならびにインターネットを通じた地図公開状況の調査のため3名が韓国に出張した。 資料調査では、まず欧米諸国作製の19世紀東アジア海図について、アメリカ議会図書館蔵の印刷図、同国立公文書館の手描き原図の調査により、整備過程の追跡が可能という展望を得て、一部2013年8月の国際地理学会京都地域大会などで発表した。他方、第2次世界大戦中にアメリカ陸軍に設置されたArmy Map Service (AMS)は、戦中~戦後に撮影した空中写真による地形図を、日本本土や琉球列島だけでなく、中国沿海部や東南アジアの広汎な地域について整備した。これらは日本軍が同地域について整備した地形図(外邦図)の利用に際しても有用な図になるので、一部目録作製を開始した。他方空中写真については、平成24年度の科研費によってスキャン画像を複写した標定図から、まずそれがカバーする範囲を巨視的に把握する必要が強く感じられた。とくに広い地域をカバーするだけでなく高解像度画像を提供するU-2機撮影空中写真は、多方面からの利用が可能と予想され、その撮影範囲を広域的に示す図を準備しつつ、成果の一部を日本地理学会で発表した。気象観測資料については、分担者の山本がこれまでの成果をまとめた単行本(『帝国日本の気象観測ネットワーク:満洲・関東州』)を刊行するほか、戦中期の日本軍による気象観測データの残存状況を報告する論文も発表した。 現地調査については、とくに台湾での作業が終盤に入り、論文執筆に着手したほか、ラオスの焼き畑農業、中国黄土高原の環境変化についての空中写真を利用した研究の見通しがえられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、前年度からの繰越金で基本資料を整えるとともに、並行して多方面の調査を行った結果、多少の遅速はあるものの、成果の発表に向けて前進する前提が整い、また一部成果が出始めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は海外の図書館や公文書館に埋もれている近代地理資料を発掘・集成し、その学術的利用を推進することを目的としている。これに向けて一方では、新たに発見された資料を利用しつつ研究例を示しつつ、他方では他の研究者が当該資料にアプローチし、多角的な分析を加えられるような条件の整備をおこなう。この場合、本来は前者が先行して資料の意義を明確にしつつ、これにつづく後者によって、その利用の普及をはかるのが望ましいが、残された研究期間である平成26年度は最終年度でもある。このため、利用者が多くなると予想される、U-2機撮影空中写真のような資料については、研究例の提示と並行しつつ、フライトの日時やコース、撮影範囲を広域的に俯瞰できるような図を公表して、関心を喚起する。
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