本課題では、栄養シグナルによるがん幹細胞制御機構の解明を目的に、栄養センサーシグナルで重要な役割を果たすmTOR複合体1に着目して研究を行った。そのため、Raptorの遺伝子欠損マウスを作製し、造血及び白血病発症におけるmTOR複合体1の機能解析を行った。その結果、急性骨髄性白血病においては、本シグナルは白血病細胞全体の増幅では必要であるが、幹細胞集団の自己複製には必須ではないことが判明した。一方で、Tリンパ球性白血病では、その生存に必須であり、重要な治療標的となることが判明した。今後、がんの動態制御における栄養シグナルの機能解析を詳細に行うことにより、がんの本態解明に寄与できると考えられた。
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