研究課題
1.Hippo経路分子群の機能解析研究と癌治療薬戦略基盤の確立:平成26年度には、肝臓特異的MATS1/2欠損マウスでは、未分化胆管細胞やオーバル細胞が著増し、多くが胎生致死となること、生き残ったマウスは混合型肝がんを呈することを見出した。MATS1/2欠損細胞は、増殖亢進、接触抑制障害、脱分化、上皮間葉転換、YAP1/TAZの活性化、 TGFbの発現亢進をみた。またマウスの表現型はYAP1に強く依存し、一部はTAZやTGFbにも依存した。またヒト混合型肝がんや胆管がんにおいてもYAP1の強い活性化をみた。さらに抗寄生虫薬がYAP1の活性を抑制することを見出し、この薬剤はこのマウスの表現型発症を抑制した(現在投稿中)。さらに気管支上皮特異的MATS1/2欠損マウスは、胎生早期に肺胞上皮の未分化性亢進と界面活性分子産生低下により生直後に死亡した。次に成体で気管支上皮特異的MATS1/2を欠損させたところ、上皮細胞の剥離を認め、肺幹細胞(BASC)も減少して、肺腺癌の発症はむしろ抑制された。その他、骨芽細胞、脂肪細胞、血液細胞、子宮・乳腺などの組織特異的MATS1/2欠損マスの作製を終え、それぞれ表現型を見出し、現在その分子機構を解析中である。2.P53を制御する核小体ストレス経路の鍵分子PICT1:ケラチノサイト特異的PICT1欠損マウスは皮膚の重層化障害をみるとともに、PICT1はがん遺伝子様作用を示す可能性を示唆した。3.PTENの制御機構研究と癌治療戦略基盤の確立:PTENと結合しその活性を亢進するPBP1/2ダブルノックアウトマウスの作製を終えた。平成27年度からマウスの表現型の解析を開始する。
2: おおむね順調に進展している
計画実験は概ねこなしていることから本研究課題は、ほぼ計画通りに進行しているものと思われる。
平成27年度には、成体で気管支上皮特異的MATS1/2を欠損させたマウスにおける、上皮細胞の剥離の機構を解析するとともに、骨、脂肪、血液細胞、子宮・乳腺などにおけるMATS1/2の役割を検討する。さらにHippo経路とp53経路とのクロストークも解明する。さらに平成27年度にはPBP1/2ダブルノックアウトマウスの表現型の解析を行う
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)
ANNALS OF ONCOLOGY
巻: 26(5) ページ: 935-42
10.1093/annonc/mdv034
HORMONE AND METABOLIC RESEARCH
巻: 47(3) ページ: 168-75
10.1055/s-0034-1395531
Nat. Med.
巻: 20(5) ページ: 484-92
10.1038/nm.3527
Sci Signal.
巻: 7(332) Pe15 ページ: 1-4
10.1126/scisignal.2005560
J. Biol. Chem.
巻: 289(30) ページ: 20802-12
Am. J. Pathol.
巻: 184(11) ページ: 3001-12
10.1016/j.ajpath
Oncogene
巻: Dec 8 ページ: 398
10.1038/onc
Oncoscience
巻: 1 (5) ページ: 375-82
10.1016/j.lungcan
THE LIPID
巻: 25(4) ページ: 63-69
医学のあゆみ
巻: 251(5) ページ: 428-435