研究課題/領域番号 |
24240122
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
西尾 和人 近畿大学, 医学部, 教授 (10208134)
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研究分担者 |
工藤 正俊 近畿大学, 医学部, 教授 (10298953)
荒尾 徳三 近畿大学, 医学部, 講師 (20441074)
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研究期間 (年度) |
2012-10-31 – 2015-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / 遺伝子増幅 / FGFRシグナル / ソラフェニブ / バイオマーカー |
研究概要 |
【FGF3による治療効果予測の基礎的・臨床的研究】ヒストリカル検体のコピー数解析を実施し、約200例の肝細胞癌において約2%の頻度でFGF3/FGF4の増幅が認められることを示した。FISHも同時に実施し、コピー数解析との間に高い相関があることを示した。約200例の食道癌手術切除標本の解析では約40%に増幅をみとめた。基礎研究としてFGF3及びFGF4の強制発現がん細胞株を作成し、同細胞を用いin vitroおよび担がんマウスモデルでのソラフェニブ感受性を検討した。その結果、FGF4過剰発現株はソラフェニブに対し高い感受性を示した。【次世代型シークエンスを用いたソラフェニブ著効例の遺伝子変異解析】ソラフェニブ著効例の凍結組織およびFFPE検体の集積を継続している。同検体に対して次世代型シークエンサーを用いたソラフェニブ著効例の遺伝子変異解析を開始した。【リガンドパネルによるソラフェニブ効果予測】集積中のソラフェニブ治療前の血清を用いて、効果予測バイオマーカーを特定し検証する。Antibody suspension bead arrays systemを用いて、VEGF、HGFを含む12分子のリガンドパネル及び12分子の血管新生パネルを測定し、血清中の各種分子の濃度を決定する。本年度は50例を対象に161検体の解析を行った。症例集積が完了した時点で、臨床効果等との相関解析を行う予定である。【意義・重要性】ソラフェニブに対する効果予測因子の同定から、コピー数あるいは遺伝子変異による分子標的薬による層別化バイオマーカーを特定し、個別化医療を実施する治療戦略の構築が可能となると期待される。また、本研究による成果はバイオマーカーのみならず、分子腫瘍学的にも新しい肝細胞癌の癌化プロセスや依存シグナル伝達系の理解に貢献すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定計画内容を実施できた。さらに肝がん細胞のコピー数解析のみならず、食道癌約200例の解析を実施できた。著効例のサンプルの収集については、現在も進行している。次世代シーケンスの測定は開始したが、解析は次年度に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ順調に推移しており、特に研究計画の変更は必要としない。リガンドパネルによるソラフェニブ効果予測については、現在進行中の多施設共同臨床試験が終了することにより、臨床効果との相関解析が実施できるため、その推移に準じての解析となる予定である。次世代シーケンスであるが、FFPEサンプルのみの使用の場合、RNAシーケンシングも実施することにより研究の推進が加速される。
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