研究課題
三陸沿岸海洋生態系の高次捕食者である大型魚類・ウミガメ類・海鳥類に、行動記録計と画像記録計を搭載し、動物を取り巻く海洋環境と同時に詳細な行動パターンを測定した。オオミズナギドリの育雛期に相当する8月から9月上旬にかけて、岩手県山田町船越大島で育雛中の親鳥に、GPSロガー・加速度ロガー・ビデオロガー・ジオロケータを装着し、採餌旅行中の軌跡、採餌行動、渡り経路や越冬地の解析を行った。ジグザグの経路をとりながら移動する間のストローク割合を測定できた。以前得られたGPSデータを解析し、着水中の移動軌跡を数十羽分とりまとめたところ、三陸海域の表面流況を把握できることが分かり、その結果を原著論文として公表することが出来た(Yoda et al. 2013)。6月から7月にかけて、岩手県大槌湾周辺海域の定置網で捕獲されたマンボウに、加速度計および光源付きカメラロガー、さらに体表から15cmの体温を測定する温度計を装着し、採餌行動や餌生物、そしてその時の体温に関するデータを取得した。一部の成果は近いうちに論文発表される(Nakamura and Sato in press)。マンボウは水面と深度200mの深度の間を何度も往復し、深度100から200mでクダクラゲ類に遭遇し、それらを捕食していたが、その間体温が低下していた。浮上した後表層の温かい海水中に漂う間に体温は急速に回復する様子を記録できた。8月中旬から9月末にかけ、岩手県大槌湾周辺海域の定置網に混獲されたアカウミガメとアオウミガメに、衛星対応型発信器や行動記録計を装着し、行動データを取得した。衛星対応型発信器からの電波を受信することで、数週間から最長1年にわたる移動経路データが得られつつある(2014年4月現在、追跡継続中)。アカウミガメは沖合を、アオウミガメは沿岸付近を利用しているといった、種による違いが把握されつつある。
2: おおむね順調に進展している
予定していた野外調査を実施し、データは順調に得られている。関連する論文も数本公表することが出来た。
オオミズナギドリを用いた海面流況把握方法をさらに発展させて、腹部で測定する水温データも入手し、緯度経度と海表面水温のデータセットを得ていく。ウミガメ類に関しては、アカウミガメとアオウミガメそれぞれに衛星対応型電波発信器を搭載し、回遊経路とその場の水温データを測定する。これらの水温情報と位置情報を統合し、三陸海域の海水温分布を把握することを目指す。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (6件) 備考 (2件)
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