研究課題/領域番号 |
24241001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 克文 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (50300695)
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研究分担者 |
依田 憲 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10378606)
高橋 晃周 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (40413918)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ウミガメ / オオミズナギドリ / マンボウ / バイオロギング / カメラ / シロザケ |
研究実績の概要 |
オオミズナギドリ調査は、育雛期に相当する8月から9月にかけて、岩手県山田町船越大島で実施した。育雛中の親鳥に位置情報を記録するGPSロガー、位置と飛翔行動を記録するフライトレコーダー、動画を撮影するビデオロガー、2年間の位置情報を記録するジオロケータを装着し、採餌旅行中の軌跡、採餌行動、渡り経路や越冬地の解析を行った。特筆すべき結果として、GPSで記録する1秒間隔の位置データより、毎秒の対地速度ベクトルを求め、その方角と速度の関係より、現場の風環境を見積もる新手法が開発されたことが上げられる。 今年度のマンボウ調査は、適当なサイズの個体が得られなかったため実施できなかった。しかし、昨年度までのデータをまとめた研究成果を原著論文として公表することができた(Nakamura et al. 2015)。 7月から10月にかけて、岩手県大槌湾周辺海域の定置網に混獲されたアカウミガメとアオウミガメに、衛星対応型発信器や行動記録計とカメラを装着し、行動と周辺環境のデータを得た。外洋を周年に渡って回遊するアカウミガメと、沿岸に沿って南下して越冬するアオウミガメの違いが明らかになり、これらの結果については原著論文として公表することができた(Narazaki et al. in press, Fukuoka et al. in press)。 12月に大槌川河口の定置網で捕獲されたシロザケに、ビデオロガーと塩分記録計を取り付けて河川に放流し、その後産卵するまでの一連の行動と周辺環境の映像を取得した。個体毎に経験する塩分環境に違いがあり、淡水で長時間過ごす個体ほど数多く空気を飲み込む傾向が見られた。塩分環境に応じて浮き袋の体積を調節し、中性浮力を保つための行動である可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していた野外調査を実施し、研究が順調に進んでいることに加え、当初予定していなかった塩分記録計の開発に成功し、早速シロザケを使った野外実験を実施できた。鉛直的にも水平的にも塩分濃度が大きく異なる汽水域において、個体毎の経験塩分を測定することができる様になり、今後汽水域に生息する動物や海と川を行き来する動物に適用する事で、より幅広い環境動態を監視する事が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
オオミズナギドリの飛翔行動から海上風を推測する手法が考案された。今後は、その推測結果の精度を検証するために、現場における海上風測定などを行う予定。
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