研究課題
樹状ナノ粒子(デンドリマー)の液相での凝集に関して、疑似体液である一般の細胞培養液やヒト血漿中ではデンドリマーはすみやかな凝集を起こすことがわかった。添加実験のシミュレーションでは、大部分のデンドリマーが細胞表面に凝集塊として付着し、時間の経過により高度な凝集塊を形成するものと示唆された。デンドリマーの吸収、排せつ及び体内分布に関しては、蛍光標識のデンドリマーをマウスに点鼻投与し、マウス体内での分布を組織切片による顕微鏡観察で調べた。その結果、投与してすぐの肺組織に同粒子が検出されたが、1日後の脳・肝臓・腎臓では検出されなかった。また、放射性ヨウ素で標識したデンドリマーをマウスに単回静脈内投与した場合、1,3,7時間後のSPECTイメージング検査によりデンドリマーの肝臓・腎臓への集積が確認されたが、脳では信号は検出されなかった。一方、ラット脳由来細胞を用いたin vitro模擬試験における蛍光標識デンドリマーの脳血液関門(BBB)通過性について調べたところ、通過の度合いは低くいがその通過はカベオラ依存性のエンドサイトーシス阻害剤で一部抑制を受けることがわかった。生体影響評価に関しては、多能性細胞であるES細胞由来ヒト神経前駆細胞の未分化時期にデンドリマーを培養液に添加し、細胞の変化の量反応関係を調べた。その結果、表面がアミン末端のデンドリマーでは、細胞増殖、細胞形態、成熟細胞への分化度に用量依存的に影響を及ぼした。その細胞毒性効果は、デンドリマーの負荷重量数及びデンドリマーの表面電位に依存することが示唆され、ニューロスフィアを形成させた3D培養系では、2D培養よりも低濃度で分化毒性が認められた。さらに、有害金属とデンドリマーの相互関係について調べたところ、ストロンチウムによるニジマス卵の発芽阻害を逆に抑制した。これは、ストロンチウムとデンドリマーの凝集体形成によるものと考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
国立環境研究所年報平成25年度A-39-2014 頁183-184
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