研究課題
本研究は、再生可能エネルギーを中心とする分散型電源の大量導入が、電力システム改革に並行して進められることが望ましいという理念の下、電気工学と経済学の観点から望ましい技術開発と市場設計のあり方について研究し、日本の電力システム改革と再エネ促進政策のあり方を提示することを目的としている。その結果、再エネの大量導入と電力システム改革(「電力自由化」)、そして原発の段階的逓減は、必然的に電力システムにおける意思決定単位の分散化を促し、全体としての電力システムの安定化をもたらすには、中央集権的な司令塔ではなく、市場メカニズムの機能を全面的に活用することが望ましいことが明らかになってきた。また、これらの環境変化に対応する市場設計が必要であり、再エネが大量導入された段階ではベースロード電源概念そのものが消滅し、むしろ変動電源に合わせて既存電源も追従運転を行うこと、広域の電力融通を図ること、省エネを中心として需要サイドの管理を行うこと、そして最後に揚水発電、蓄電池などの電力貯蔵で補完すること、これらの手段によって電力需給バランスを図ることが合理的であり、技術的にも可能であることが明らかになってきた。もっとも、将来的には調整電源への投資不足が生じる可能性があり、それに対して「容量市場」の検討が必要になる。本研究のもう1つのテーマである「再エネによる地域再生」については、多くの自治体調査と自治体職員との相互交流で、再エネ事業を地域主導で立ち上げることが、地域再生につながる道筋について、不完全ながらも理論化を図ることができるようになってきた。鍵となるのは技術ではなく(もちろんそれは重要だが)、地域の合意形成と地域における協力関係の構築であり(「社会関係資本」)、事業を支える人材の育成(「人的資本」)である。そして、それをさえる地域金融の存在も重要なファクターであることが分かってきた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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