研究課題/領域番号 |
24241028
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
日出間 純 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (20250855)
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研究分担者 |
坂本 綾子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力研究部門量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (00354960)
土岐 精一 独立行政法人農業生物資源研究所, 農業生物先端ゲノム研究センター, ユニット長 (80212067)
雑賀 啓明 独立行政法人農業生物資源研究所, 農業生物先端ゲノム研究センター, 主任研究員 (20435613)
遠藤 真咲 独立行政法人農業生物資源研究所, 農業生物先端ゲノム研究センター, 研究員 (40546371)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 突然変異育種 / イオンビーム / 変異誘発 / イネ / DNA修復 / ゲノム不安定性 / シロイヌナズナ |
研究概要 |
【課題1】イオンビームによる特徴的な2重鎖切断(DSB)修復機構に関する解析 (課題1-1)染色体構造変化個体の選抜と変異体の染色体構造解析(坂本):カーボンイオンビームによって変異誘発したシロイヌナズナM2種子プールから、紫外線(UVB)に対する感受性を指標に変異体を選抜した。得られた変異体の変異部位を解析したところ、大規模な染色体構造変化をもつ系統を数系統獲得し、構造変化を塩基配列レベルで決定した。(課題1-2)イネ、シロイヌナズナDSB修復に関わる遺伝子破壊株の作製(土岐・雑賀・遠藤):非相同末端結合に関わる遺伝子の発現抑制イネ、および非相同末端結合遺伝子破壊イネの作出に成功し、DNA損傷に対する感受性の評価を実施した。またDSB末端の削り込みにかかわる酵素の機能解析を行った。(課題1-3)人工制限酵素を利用した変異スペクトラム解析(土岐・雑賀・遠藤):イネ内在性の酵素遺伝子を切断する人工制限酵素を作製し、変異を導入することに成功した。(課題1-4)相同組換え検出マーカーを導入した植物を用いた、イオンビームによる相同組換え頻度に関する解析(坂本・日出間):研究過程でより高度な相同組換え頻度検出の新規マーカーを見出し、この相同組換え検出用のマーカー遺伝子を組み込んだシロイヌナズナ、ならびにゼニゴケを作製し、現在植物体を利用して、実験条件の検討、ならびにイオンビームやガンマ線を照射し、組換え頻度に与える照射線効果測定を実施している。 【課題2】ゲノム不安定化に関する解析(日出間):イオンビームで変異導入したイネ、シロイヌナズナ後代世代を材料に、メチル化パターンの変化のデータベース化を行っている。 【課題3】染色体リアレンジメントを利用したバランサークロモソームの作製(坂本):バランサークロモソームの検証のため、マーカーとなる変異をもつ系統どうしを交配し、試験系統を作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究過程において、新規の相同組換え検出マーカーを見出し、新たに検出マーカーを組み込んだ組換え体を作製して、組換え頻度に放射線が及ぼす影響解析を進めているが、現在は予定通り進んでいる。また本実験において、イネとシロイヌナズナでは組換え頻度に及ぼす影響が大きく異なり、イネでは組換え頻度の検出が極めて低かった。この結果を踏まえ、新たにゼニゴケを材料に組換え体作製を行うこととにしたため、多少実験が遅れたが、これは新たな知見を得るために必要かつ大変興味深いものであるため、全体としては、概ね順調に進展してると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度に当たる。これまでに本研究を遂行する上で重要な植物体(組換え植物)の作製はほぼ予定通り終了した。したがって、今後はこれら作製した植物体を材料に解析を行うのみである。
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