研究課題/領域番号 |
24241030
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
篠原 厚 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60183050)
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研究分担者 |
高橋 成人 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (00197162)
笠松 良崇 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70435593)
吉村 崇 大阪大学, ラジオアイソトープ総合センター, 教授 (90323336)
二宮 和彦 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90512905)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 核医学用RI製造装置 / 加速器 / がん診断用核種 / 抗がん剤 / シスプラチン / α線内用療法 / アスタチン |
研究実績の概要 |
前年度加速器システムの故障により延期していた照射装置の詳細なテストと平行して(新照射装置の試験運転は前年度のミッションのため、H25年度の報告に記載した)、新たな核医学用核種として191-Ptの製造法の開発を行い、抗がん剤への適用を研究した。 シスプラチンをはじめとする白金系抗がん剤は幅広い腫瘍に対し効果を示すことから、がん治療において重要な役割を担っている。しかしながら、これらの薬物動態を非破壊的に追跡する方法はなく、特にその人体内での挙動はほとんど明らかにされていない。これら薬剤の体内動態を追跡する方法として最も有効なのは191-Pt(T1/2: 2.8 d)をはじめとする放射性白金トレーサーの利用であるが、従来の放射性白金トレーサー製造法には、製造効率や非放射能、放射核種純度など多くの問題が存在するため、放射性白金トレーサーが実際に供給された例は非常に少ない。 そこで本研究では、191-Ptの親核種である191-Au(T1/2: 3.18 h)を経由するnatPt(p, xn)191-Au→191-Pt反応を用いた放射性白金トレーサーの新規製造、精製法の確立、及びこれを用いた白金系抗がん剤の体内動態試験を実施し、臨床試験への応用に耐えうる放射性白金トレーサー供給法を開発した。また、金沢大学薬学部との共同研究として、191Ptを標識下白金敬作対抗がん剤候補薬剤を合成し、ラットによる動物実験を行い体内動態研究を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標である核医学用の多量RI製造措置が完成し、そのシステムの性能が確認された。実際に99m-Tc、191-Ptや211-Atの製造法がほぼ確立し、半定期的に製造しラットに投与し、その体内分布を調べるなどの基礎研究を行った。 その他のPET用RI標識化合物の合成もほぼ予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、照射装置の開発としては、大量製造用のターゲットシステムの改良を進める。また、可能な範囲で製造装置を用いたRI製造の実施、及び標識化合物の合成、更にはin vitro, vivo での試験検査を進めていく。特にα内用療法として注目されているアスタチンについて、製造―分離・精製―標識化合物合成について効果的な方法を研究開発する。 またPET核種、その他の核医学用RIについてもバラエティーに富んだ製造方法を研究する。
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