研究課題
前年度の重水素化セルの試験実験により、鉄の重水素化反応過程と700℃で熱平衡状態に至った鉄重水素化物の結晶構造の決定に成功した。本年度は、より高温の850℃における鉄重水素化物(FeDx)の中性子回折実験を実施して、重水素化セルの耐用性と高温で出現が報告されている鉄重水素化物の超多量空孔状態の観測を試みた。高温下で促進される鉄重水素化物の粒成長を抑えるために鉄と酸化マグネシウムの粉末を混合した試料を出発試料として使用した。温度850℃、重水素圧5 GPaを保持した状態で、中性子回折プロファイルの時間変化を測定した。空孔形成に伴う鉄の結晶格子の収縮が観測され、格子収縮は10時間後に終了した。最終の体積収縮率は3.6%であった。これらの結果は、以前報告された放射光X線回折の実験結果と一致していることから超多量空孔状態が形成されたと結論された。平衡状態の中性子回折プロファイルを、重水素原子と空孔が無秩序にそれぞれ八面サイトと鉄原子位置を占める無秩序モデル、ならびに、空孔‐重水素原子クラスターが形成される秩序モデルの二つの構造モデルを使用して解析したところ、両者で同じ信頼度が得られた。すなわち、理論予測されているクラスター形成を支持する積極的な結果は得られなかった。放射光X線回折によって、室温‐700℃、4‐10 GPaの温度水素圧領域におけるヨーロピウム水素化物(EuHx)のⅢ相とⅣ相の相境界を決定した。Ⅳ相はⅢ相の高温相として特徴づけられ、その相境界は280℃、7 GPa付近に極大を持つことが観測された。水素組成x~3の高水素組成を持つⅣ相の高圧中性子回折実験に向けての高温高圧状態図が決定された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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