研究課題/領域番号 |
24241036
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
磯部 寛之 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30302805)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノチューブ・フラーレン / 合成化学 / 有機化学 / 分子ベアリング / 分子機械 |
研究概要 |
「精密有機合成に立脚したナノカーボン構造化学」と題した本研究では,ナノカーボン分子構造の探求によるその理解と,それに基づく新しいナノカーボン分子の発展的活用を図ろうと計画している.この命題のもと,3つの主題項目「1.新規ナノカーボン分子骨格の創製」「2.ナノカーボン分子の構造多様化」「3.ナノカーボン分子の特性・新機能探索」のうち,本年度は,とくに項目2,3に著しい進展を実現した.すなわち,世界初のジグザグ型有限長カーボンナノチューブ分子の設計・合成を成し遂げ,らせん型,アームチェア型と合わせ,全3種の剛直な壁をもつ有限長カーボンナノナノチューブ分子の合成を実現した.これらの成果は,いずれも世界初の例となったことから,解説記事発表による広報活動や報道機関への情報提供を通じた広報活動にも積極的にあたり,国民への説明に配慮している.さらに,年度末には近未来材料に資する「極微摩擦ナノカーボン分子ベアリング」の発見に至り,機能化研究での大きな一歩を踏み出した.有限長カーボンナノチューブ分子とフラーレンを混合すると,自発的に分子ベアリングが組み上がり,内部の回転子が溶液中で軸回転することを明らかにしたものである.ナノカーボン機械の世界を,従前の単分子観測の世界から,量産型ナノテクノロジーの世界へと大きく変換する成果である.この成果についても説明責任を果たすべく情報提供を中心とした広報活動を行い,各種報道機関に大きく取り上げられている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ジグザグ型有限長カーボンナノチューブ分子の合成,分子機械という新機能は,いずれも計画では研究期間後半で挑む予定としていた挑戦的課題であるが,初年度に実現したため.
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今後の研究の推進方策 |
本研究での主要3検討項目「1.新規ナノカーボン分子骨格の創製」「2.ナノカーボン分子の構造多様化」「3.ナノカーボン分子の特性・新機能探索」のうち,2,3に著しい進展が見られたため,これらの知見を項目1にフィードバックすることで,より着実な研究遂行を行う.
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