研究課題
「精密有機合成に立脚したナノカーボン構造化学」と題した本研究では,ナノカーボン分子構造の探究によるその理解と,それに基づく新しいナノカーボン分子の発展的活用を計画している.主題となる主要3項目は1.新規ナノカーボン分子骨格の創製,2,ナノカーボン分子の構造多様化,3.ナノカーボン分子の特性・新機能探索となっている.これまでに引き続き研究は順調に進展しており,想定以上のペースでの計画実施が行えていると考えている.今年度の主立った成果としては:・PNAS誌に発表した有限長カーボンナノチューブ分子とフラーレンの超分子錯体の結晶構造解明,・OrgLett誌に発表した有限長カーボンナノチューブ分子とフラーレン間の光電子移動,・JOC誌に発表した原子欠損型グラフェンモデル「シクロメタフェニレン」を新有機半導体として活用した有機ELデバイスの開発が挙げられる.これらの研究は展開も早く,2015年にはChemSci誌に伸長型有限長カーボンナノチューブ分子とフラーレンとの結晶構造を報告し,カーボンナノチューブの分子構造の解明が一段と進んでいる.また理論家との共同研究から分子ベアリングとしての特質研究に着手しており,微小摩擦界面の存在を明らかにしている.
1: 当初の計画以上に進展している
研究課題の主要三項目すべてにおいて相当な進展となる成果を挙げた.とくに結晶構造を主体としたカーボンナノチューブ分子の分子描像の解明は,他の追随を許さない成果となっている.
研究期間後半に向け,現時点までの成果をさらに飛躍的に展開する検討に着手する.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 5件)
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