研究課題
「精密有機合成に立脚したナノカーボン構造化学」と題した本研究では,ナノカーボン分子構造の探究によるその理解と,それに基づく新しいナノカーボン分子の発展的活用を計画している.主題となる主要三項目は,1.新規ナノカーボン分子骨格の創製,2.ナノカーボン分子の構造多様化,3.ナノカーボン分子の特性・新機能探索となっている.今年度の主立った成果を列記する:○Chem. Sci.誌に分子ベアリングの特異的性質を報告.この報告はごく最近,構造化学・理論化学的議論に発展した.○前年度に発見した光電子移動について,構造・特性相関研究をChem. Asian J.誌に発表.○ナフタレンを用いた世界初の帯状分子をAngew. Chem. Int. Ed.誌に発表.○多様な構造をもつ帯状分子をChem. Lett.誌に数報発表.○単層有機ELデバイスを実現する,グラフェン穴モデル炭化水素分子の創製をChem. Sci.誌に発表.○単層有機ELデバイスのための第二世代炭化水素分子の設計・合成をJ. Org. Chem.誌に発表.いずれも基盤研究(A)を端緒として新しい発展が見込まれる成果となっている.
1: 当初の計画以上に進展している
当初予定した主要三項目において,当初目的を果たし,次なる研究課題への発展を構想できる土台となる成果までに至っている.とくに材料科学での革新的材料開発の基礎を築いたことは特筆に値する.
研究最終年度となる本年度では,全体を俯瞰的に総括することで,次なる研究課題の設定を心がける.とくに,材料科学への発展的成果やナノ科学での萌芽的成果など,多岐に亘る方向性を如何に定め,集約あるいは個別発展するのかについて慎重に吟味したい.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 9件)
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