本研究では「精密有機合成に立脚したナノカーボン構造化学」と題し,ナノカーボン分子構造の理解と,構造有機化学的理解に基づいたナノカーボン分子の発展的活用を図った.ナノカーボンは明確な構造をもつ「分子」として取り扱うことが困難であるために,前世紀の間に培われた有機構造化学的知見を活用し得ない.本研究では,精密有機合成を活用することで構造の明確なナノカーボンモデル分子をつくりだすことに成功し,これをもってナノカーボンの構造化学研究を推進した.筒状分子の幾何学,「分子ベアリング」の構築と挙動解明をはじめとする,構造化学を基盤とする発展研究を遂行した.
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