研究課題/領域番号 |
24241039
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遊佐 剛 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40393813)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 量子情報 / ナノ構造 / 核磁気共鳴 / 光物性 |
研究概要 |
本研究の目的は通常の量子計算で行われているような2準位系の量子ビットを基礎にするのではなく、集団あるいは場の自由度の量子系を生かした量子情報処理を目指すものである。半導体ナノ構造に閉じ込められた電荷やスピン自由度を媒体とした状態の光学的電気的制御検出を実現する。 2年度目である本年度は特に半導体ウエハーの基本構造から大幅な改良を加えた。特に光照射下でも電子移動度や電子密度の変化しない高品質二次元電子の設計や、分布ブラッグ反射ミラーをウエハー内に作り込む等の試料構造の作製に成功し、試料パラメーターを幾つか変えた良質な二次元電子系が実現される半導体基板を多く作製することができた。また前年度から引き続き極低温強磁場環境下での顕微測定の整備を進め、集光系の見直し等を進め、検出感度を従来比4~6倍と大きく向上させることに成功した。核スピン状態の可視化に関する研究も進め、その成果を招待講演等で発表した。量子フィードバックを用いた電気制御による基底状態からのエネルギー抽出プロトコルに関しては、局所観測領域Aと局所エネルギー抽出領域Bの間に意図的に励起状態(スクイーズド状態)を挿入することで、領域Aと領域Bの実効的な距離の制限をなくすことができることを理論的に証明し論文発表を行った。この新プロトコルの提案は、次年度に実際の測定を行う上で測定の難易度を大きく下げることができるため重要な成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終的な研究成果まで到達してはいないものの、計画通り準備が進んでおり、基礎的データが十分蓄積されている。測定系の構築、試料の作製はほぼ終了し、新たな理論提案で大きな進展が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
試料作製、測定システムの構築、及び理論提案が順調に進んでおり、最終的な測定を行う準備が整っているので、計画通り研究を進める予定である。特に零点振動の直接観測、ポストセレクションタイプの統計測定を中心に進める予定である。
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