本研究の目的は通常の二準位系の量子ビットを基本単位とする量子計算と異なり、量子的な集団あるいは場の自由度の量子力学的特性を生かした量子情報を目指すものである。特に本研究では半導体のナノ構造、特に二次元系や一次元系の電子の持つ電荷やスピン、あるいは核スピンの自由度を量子メディアとする量子状態の制御を通じて量子計算の実現を目指した。 3年目である本年度は昨年度から引き続き半導体基本構造の見直しを行い、ほぼ最適な試料パラメータの特定に成功した。昨年度に理論提案を行った量子プロトコルの改良版に対してさらなる理論面での改良を進めた。このプロトコルを実装するためのデバイスの基本構造と試作を行い、数10MHz帯までの動作確認を行った。また、核スピンを量子集団とするために電流励起の核スピン励起の実空間測定を行い可視化に成功した。この成果については研究期間終了後に論文発表する予定である。
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