研究課題/領域番号 |
24241042
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高井 まどか 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40287975)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自己組織化相分離構造 / ブロックポリマー / タンパク質吸着 / 細胞接着 |
研究概要 |
本年度は、ブロック共重合体の自己組織化されたナノ相分離構造の相反転構造を用い、吸着タンパク質の分布状態を変化させた。この表面での細胞接着の違いを検討した。具体的仁は、疎水性部位であるpoly(3-(methacryloyloxy)propyltris(trimethylsilyloxy)silane) (PMPTSSi)と親水性部位であるpoly(2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine) (PMPC)を等しいユニット比で有する両親媒ブロックポリマーを作製した。タンパク質が吸着する疎水性部位が、球状ドメインでサイズが20~30nmのものと、中心部が親水性でその周囲が疎水性部位となっている相反転構造の2種類を用いて、タンパク質吸着と細胞接着の評価を行った。 まず、表面のナノスケールでの構造の安定性を、AFMのフォースカーブを用いて評価したところ、水中でも相分離構造が安定に存在していることが確かめられ、親疎水性構造が反転していることがわかった。TEMにより、水中浸漬前後の構造解析を行い、水中浸漬前、後でも構造が変化していないことを確認した。この表面に細胞接着性タンパク質であるフィブロネクチンを吸着させた。フィブロネクチンの吸着量は、相反転をしている両者の表面において同等であった。しかし細胞接着は、タンパク質吸着部位が海状になっている層構造表面でのみ起こり、20-30 nmのドット状にタンパク質が分布している表面では細胞接着が起こらなかった。以上の結果から、タンパク質の吸着分布状態、さらに吸着タンパク質の配向を含めた構造が、単に吸着量だけでなく、細胞接着に多きく寄与していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ブロックポリマーの相分離構造表面の水中での安定性を評価することに予定より時間がかかってしまった。合成手法の見直しを含めて研究を進めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
タンパク質の分布状態が異なる表面が形成できたが、吸着タンパク質の構造や配向性についての評価を検討し、 吸着タンパク質と細胞接着の関係を明らかにしていく予定である。
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