医療用バイオナノデバイスの実用化と用途拡大に向けた基盤研究

2014 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 24241043
• 研究機関: 東京医科大学
• 研究代表者: 半田 宏 東京医科大学, 医学部, 教授 (80107432)
• 研究分担者: 青木 伊知男 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (10319519) ; 川野 雅章 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (30447528) ; 松井 政則 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (50199741)
• 研究期間 (年度): 2012-04-01 – 2015-03-31
• キーワード: ポリオーマウイルス / simian virus 40 / VP1 / 自己集合化 / 人工粒子 / 被覆 / 分散性 / ドラッグデリバリー

研究実績の概要

非エンベロープ型のポリオーマウイルス科に属するsimian virus 40 (SV40) は、主要構造タンパク質VP1のみで直径45 nmの正20面体型のウイルス粒子を構築する。SV40粒子を構成している最小単位のサブユニットである5つのVP1で構成されるVP1五量体は、自身の自己集合化能により試験官内で粒子への集合化を誘導することが可能で、集合化したウイルス粒子の中にタンパク質やDNAなどの生理活性物質を内包することができる。
本研究課題において、我々は新たに、VP1五量体が生理活性物質を内包できるだけでなく、マグネタイトのような人工粒子を被覆できることを明らかにした。VP1五量体による被覆は、マグネタイトの分散性を向上させ、生理的溶媒、および、血清中でも凝集することなく分散状態を保つことを可能にした。さらに、VP1五量体の被覆は、マグネタイトの血中滞留性も向上させ、モデルマウス体内での血中滞留時間が大幅に上昇することが明らかとなった。この優れた分散性から、マグネタイトをVP1五量体で被覆した後、epidermal growth factor (EGF) をリンカーでVP1被覆マグネタイトに固定化した粒子 (EGF-VP1-Mag) を、EGF受容体 (EGFR: epidermal growth factor receptor) を高発現する細胞と混合すると、EGF依存的にEGF-VP1-MagがEGFR高発現細胞に選択的に結合することを確認し、また、マグネタイトを核磁気共鳴法で可視化することでin vivoでもEGFR高発現細胞と結合することを確認した。さらに、VP1五量体は、人工粒子のサイズ、粒子の荷電状態、形状を選ばず、様々な人工粒子を被覆することができ、それらの人工粒子の分散性を上昇させることを明らかにした。VP1五量体による被覆法を解析、確立することに成功したことで、この解析で得られた知見は、将来的にはドラッグデリバリーシステムに使用する人工粒子の分散性の向上方法を提示することができたので、非常に有意義な研究成果だと考えられる。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] SV40 VP1 major capsid protein in its self-assembled form allows VP1 pentamers to coat various types of artificial beads in vitro regardless of their sizes and shapes. (2015)
  • 著者名/発表者名: Kawano, M., Doi, K., Fukuda, H., Kita, Y., Imai, K., Inoue, T., Enomoto, T., Matsui, M., Hatakeyama, M., Yamaguchi, Y. and Handa, H.
  • 雑誌名: Biotechnology Reports. 巻: 5 ページ: 105-111
  • DOI: 10.1016/j.btre.2014.12.008
  • 査読あり
• [雑誌論文] Structure of the human cereblon-DDB1-lenalidomide complex reveals basis for responsiveness to thalidomide analogs. (2014)
  • 著者名/発表者名: Chamberlain, P., Lopez-Girona, A., Miller, K., Carmel, G., Pagarigan, B., Chie-Leon, B., Rychak, E., Corral, L., Ren, Y., Wang, M., Riley, M., Delker, S., Ito, T., Ando, H., Mori, T., Hirano, Y., Handa, H., Hakoshima, T., Daniel, T. and Cathers, B.
  • 雑誌名: Nat. Struct. Mol. Biol. 巻: 21 ページ: 803-809
  • DOI: 10.1038/nsmb.2874
  • 査読あり
• [雑誌論文] Novel trifluorinated thiazoline scaffold leading to proapoptotic agents targeting prohibitins. (2014)
  • 著者名/発表者名: Perez-Perarnau,A.,Preciado,S.,Palmeri,CM.,Moncunill-Massaguer,C.,Iglesias-Serret,D.,Gonzalez-Girones, DM., Miguel, M., Karasawa, S., Sakamoto, S., Cosialls, AM., Rubio-Patino, C., Saura-Esteller, J., Ramon, R., Caja, L., Fabregat, I., Pons, G., Handa, H., Albericio, F., Gil, J. and Lavilla, R.
  • 雑誌名: Angew. Chem. Int. Ed. 巻: 53 ページ: 10150-10154
  • DOI: 10.1002/anie.201405758
  • 査読あり
• [雑誌論文] DSIF and NELF interact with Integrator to specify the correct post-transcriptional fate of snRNA genes. (2014)
  • 著者名/発表者名: Yamamoto, J., Hagiwara, Y., Chiba, K., Isobe, T., Narita, T., Handa, H. and Yamaguchi, Y.
  • 雑誌名: Nat. Commun. 巻: 5 ページ: 4263
  • DOI: 10.1038/ncomms.5263
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Magnetically Promoted Rapid Immunoreactions Using Functionalized Fluorescent Magnetic Beads: A Proof of Principle. (2014)
  • 著者名/発表者名: Sakamoto, S., Omagari, K., Kita, Y., Mochizuki, Y., Naito, Y., Kawata, S., Matsuda, S., Itano, O., Jinno, H., Takeuchi, H., Yamaguchi, Y., Kitagawa, Y. and Handa, H.
  • 雑誌名: Clinical Chem. 巻: 60 ページ: 610-620
  • DOI: 10.1373/clinchem.2013.211433
  • 査読あり
• [雑誌論文] Immunomodulatory agents lenalidomide and pomalidomide co-stimulate T cells by inducing degradation of T cell repressors Ikaros and Aiolos via modulation of the E3 ubiquitin ligase complex CRL4CRBN. (2014)
  • 著者名/発表者名: Gandhi, A. K., Kang,J., Havens, C. G., Conklin, T., Ning, Y., Wu, L., Ito, T., Ando, H., Waldman, M. F., Thankurta, A., Klippel, A., Handa, H., Daniel, T. O., Schafer, P. H. and Chopra,R.
  • 雑誌名: Br. J. Haematol. 巻: 164 ページ: 811-821
  • DOI: 10.1111/bjh.12708
  • 査読あり
• [雑誌論文] Inhibition of protein SUMOylation by davidiin, an ellagitannin from Davidia. (2014)
  • 著者名/発表者名: Takemoto, M., Kawamura, Y., Hirohama, M., Yamaguchi, Y., Handa, H., Saitoh, H., Nakao, Y., Kawada, M., Khalid, K., Koshino, H., Kimura, K., Ito, A., and Yoshida, M.
  • 雑誌名: J.Antibio. 巻: 67 ページ: 335-338
  • 査読あり
• [学会発表] アフィニティビーズを利用した生物活性物質標的タンパク質の単離・同定・評価 (2015)
  • 著者名/発表者名: 坂本 聡、山口雄輝、半田 宏
  • 学会等名: 日本薬学会第135年会
  • 発表場所: 神戸学院大学
  • 年月日: 2015-03-25 – 2015-03-28
  • 招待講演
• [学会発表] セレブロンーIMiDs標的分子研究の最前線ー (2015)
  • 著者名/発表者名: 半田宏
  • 学会等名: セルジーン講演会
  • 発表場所: ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル
  • 年月日: 2015-02-28
  • 招待講演
• [学会発表] ケミカルで知り、ケミカルで動かす―サリドマイド催奇性のターゲットの発見から創薬への展開ー (2015)
  • 著者名/発表者名: 半田宏
  • 学会等名: サントリー生命科学財団 セミナー
  • 発表場所: サントリー生命科学財団(大阪)
  • 年月日: 2015-02-04
  • 招待講演
• [学会発表] サリドマイド催奇性のターゲットの発見から創薬への展開ーケミカルで知り、ケイカルで動かすー (2015)
  • 著者名/発表者名: 半田宏
  • 学会等名: 埼玉医科大学 ゲノム医学研究センターセミナー
  • 発表場所: 埼玉医科大学 ゲノム医学研究センター
  • 年月日: 2015-01-23
  • 招待講演
• [学会発表] Medical application of functionalized SV40 virus-like particles (2014)
  • 著者名/発表者名: Hiroshi Handa, Masaaki Kawano
  • 学会等名: ICSS MEETING
  • 発表場所: Hong Kong (Eaton Hotel, Kowloon)
  • 年月日: 2014-12-09
  • 招待講演
• [学会発表] Cereblon is a substrate receptor of the Cul4 ubiquitin ligase whose substrate recognition is modulated by IMiDs (2014)
  • 著者名/発表者名: Takumi Ito, Hideki Ando, Yuki Yamaguchi, Hiroshi Handa
  • 学会等名: 第37回日本分子生物学会年会
  • 発表場所: パシフィコ横浜
  • 年月日: 2014-11-26
• [学会発表] E3ユビキチンリガーゼの基質認識レセプターCRBNとぽまり度毎度依存的な基質Aiolosの生化学的解析 (2014)
  • 著者名/発表者名: 片山美樹、伊藤拓水、安藤秀樹、山口雄輝、半田宏
  • 学会等名: 第37回日本分子生物学会年会
  • 発表場所: パシフィコ横浜
  • 年月日: 2014-11-25
• [学会発表] IMiDsの多彩な薬理作用～標的分子探索研究の進歩～ (2014)
  • 著者名/発表者名: 半田宏
  • 学会等名: 第76回日本血液学会学術集会
  • 発表場所: 大阪国際会議場
  • 年月日: 2014-11-01
  • 招待講演
• [学会発表] ケミカルで生命の謎を知る！ (2014)
  • 著者名/発表者名: 半田宏
  • 学会等名: 第48回 医科学フォーラム
  • 発表場所: 東京医科大学教育研究棟(自主自学館）維持会記念講堂
  • 年月日: 2014-09-24
  • 招待講演
• [学会発表] セレブロン～サリドマイド催奇性から創薬への展開～ (2014)
  • 著者名/発表者名: 半田宏
  • 学会等名: セルジーン血液腫瘍フォーラム
  • 発表場所: 京都国際ホテル
  • 年月日: 2014-09-13
  • 招待講演
• [学会発表] 「大学のシーズ研究から実用化に向けて －大学における基礎研究の重要性－」 (2014)
  • 著者名/発表者名: 半田宏
  • 学会等名: メディカル・ヘルスイノベーション講座 第8回定例講演会
  • 発表場所: 信州地域技術メディカル展開センター
  • 年月日: 2014-09-09
  • 招待講演
• [学会発表] IMiDsのセレブロンを介した多様な薬理作用 (2014)
  • 著者名/発表者名: 半田宏
  • 学会等名: Sinnjuku Myeloma Conference
  • 発表場所: 国際医療研究センター
  • 年月日: 2014-07-24
  • 招待講演
• [学会発表] Cereblon is a substrate receptor of the CUL4-DDB1 ubiquitin ligase whose activity is directly controlled by thalidomide and its analogs (2014)
  • 著者名/発表者名: Takumi Ito, Hideki Ando, Yuki Yamaguchi, Hiroshi Handa
  • 学会等名: Protein Modification & Homeostasis
  • 発表場所: Suzhou Duxhu Lake Conference Center, China
  • 年月日: 2014-06-16 – 2014-06-20
• [学会発表] Idenification of a primary target of thalidomide teratogenecity: towards the debelopment of new drugs (2014)
  • 著者名/発表者名: Hiroshi Handa
  • 学会等名: RNA Biology
  • 発表場所: McGovern Institute,MIT Bldg. USA
  • 年月日: 2014-06-14
  • 招待講演
• [学会発表] 抗炎症薬サリチル酸の生体内作用機構の解明 (2014)
  • 著者名/発表者名: 坂本 聡、Vipul Gupta、劉 舒捷、安藤秀樹、舘野峻平、金子裕生、湯上真人、石井亮平、濡木 理、山口雄輝、半田 宏
  • 学会等名: 第9回日本ケミカルバイオロジー学会
  • 発表場所: 大阪大学会館
  • 年月日: 2014-06-11
• [学会発表] 分子標的探索と生物学的評価 (2014)
  • 著者名/発表者名: 半田宏、坂本聡
  • 学会等名: 新学術領域研究「天然物ケミカルバイオロジー～分子標的と活性制御～」第6回公開シンポジウム
  • 発表場所: 名古屋大学（坂田・平田ホール）
  • 年月日: 2014-05-29
• [学会発表] IMiDsの作用機序－近年の報告から－ (2014)
  • 著者名/発表者名: 半田宏
  • 学会等名: Therapeutic strategies for Multiple Myeloma 2014
  • 発表場所: ホテル日航福岡
  • 年月日: 2014-04-12
  • 招待講演
• [図書] IMiDs基礎と臨床2015 (2015)
  • 著者名/発表者名: 伊藤拓水、安藤秀樹、半田宏
  • 総ページ数: 233(26-34)
  • 出版者: (株)メディカルレビュー社
• [図書] 日本臨牀(特集：多発性骨髄腫の病態と最新治療－基礎と臨床の最新情報－ (2015)
  • 著者名/発表者名: 伊藤拓水、安藤秀樹、半田宏
  • 総ページ数: 182(143-148)
  • 出版者: (株)日本臨牀社
• [図書] 生物活性分子の標的同定と機能解明 (2015)
  • 著者名/発表者名: 坂本聡、伊藤拓水、半田宏
  • 総ページ数: 189(86-93)
  • 出版者: (株）化学同人
• [図書] 「Organ Biology」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 半田宏、伊藤拓水、安藤秀樹
  • 総ページ数: 273(134-140)
  • 出版者: (株)日本医学館
• [図書] マイクロ/ナノカプセルの調整、徐放性制御と応用事例 (2014)
  • 著者名/発表者名: 坂本聡、川野雅章、半田宏
  • 総ページ数: 510(250-256,277-284)
  • 出版者: (株)技術情報協会
• [図書] 多摩川技報 Vol.31 (2014)
  • 著者名/発表者名: 寺田孝太郎、田中俊行、羽生尚広、本田孝行、半田宏
  • 総ページ数: 57(13-18)
  • 出版者: 多摩川精機㈱
• [図書] 実験医学増刊「驚愕の代謝システム」 (2014)
  • 著者名/発表者名: 加部泰明、末松誠、半田宏
  • 総ページ数: 206(142-149)
  • 出版者: 羊土社