研究課題
希少元素を用いずにグラフェン磁石を創製するために、リソグラフィを用いずに、多孔質アルミナ膜をマスクとしてグラフェン上に低ダメージエッチングでナノ細孔アレイを形成し(グラフェンナノメッシュ)、その細孔エッジダングリングボンドを1個の水素原子で終端することで、高効率平坦バンド強磁性を実現して来た。これを電極に用いてトンネル磁気抵抗(TMR)素子の創製に挑戦した。プロトタイプ試料として、上記強磁性グラフェンナノメッシュ(FGNM)上に厚さ10nm程度のSiO2トンネル膜を成長し、その上にコバルト電極を成長、FGNMとコバルト電極間のTMR特性を観察した。その結果実際にTMRピークが出現することを確認し、数10%から100%近いTMR比を室温でさえ初めて確認出来た。これは細孔エッジの偏極スピンが実際にトンネリングし、コバルト電極中の偏極スピンと相互作用することを示すもので、第一原理計算の結果からも印加磁場に対するこれらスピン整合の振る舞いを証明した。ただしまだTMR波形自体はシャープなものではないため、今後さらなる改善が必須である。特にトンネル膜をグラフェンと格子整合を持つ酸化グラフェンなどにする、トンネル膜の両側電極をFGNMにする、などは必須事項である。また、FGNMと同様の手法を用いて、次世代二次元単原子層として期待されている黒リン上にもナノ細孔アレイを形成することに成功し、細孔エッジを酸化するだけでFGNMを100倍近く上回る強磁性が発現することを発見した。FGNMはもちろん本研究の中心で最も重要であるが、そこから派生した新たな希少磁性元素フリー磁石として、期待が持てる。特に酸化するだけで磁化が発生することは、応用上極めて有利である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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