研究課題/領域番号 |
24241047
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
大川 祐司 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (40242169)
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研究分担者 |
有賀 克彦 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究者 (50193082)
櫻井 亮 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (60280731)
久保 理 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70370301)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ナノ材料 / 走査プローブ顕微鏡 / ナノデバイス / 分子素子 / 導電性高分子 |
研究実績の概要 |
個々の有機分子に電子デバイスとしての機能を持たせようという単分子デバイスの研究がなされてきたが、その実現のためには、機能を持った有機単分子に導電性高分子鎖を配線する必要がある。我々は、個々の機能分子に向け、導電性高分子(ポリジアセチレン)鎖を連鎖重合反応によって成長させることで、導電性高分子鎖を配線する方法を世界に先駆けて開発した。本研究の目的は、このようにして作製した分子デバイス配線回路の電気特性の実測によって、デバイスとしての機能を確認/実証することである。この目的を達成するため、以下のように単一ポリジアセチレン鎖の電気伝導特性の計測を試みている。 第一の方法は、電子ビームリソグラフィにより適切なギャップ幅を持った電極を作成し、その電極間にポリジアセチレン鎖を作成して電気特性を測定する方法である。本年度は、絶縁体である六方晶窒化ホウ素を基板として用いて実験を行った。微細加工電極を電子線リソグラフィーにより作成後、ジアセチレン分子膜を作成して熱重合を行うことで、微細加工電極間にポリジアセチレン鎖を作成することなどに成功した。ただし、このように作成した金属電極は不安定であり、信頼性のある計測を行うには作成条件をさらに最適化する必要がある。 また、本年度から新たな方法として、局所的に絶縁体化したグラフェンをフラット電極として用いることで、電気伝導特性を計測する試みも始めた。そのための、グラフェンをのせる平坦な基板の検討などの予備実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた二硫化モリブデン基板を用いる方法では、基板を通して流れる電流が大きすぎてうまくいかなかったが、それに代わって絶縁体である六方晶窒化ホウ素基板を用いることで研究を進め、微細加工電極間にポリジアセチレン鎖を作成することに成功するなど、研究は着実に進展した。しかし、この方法でも微細加工電極の安定性の問題等から信頼性のある測定を行うことには困難もある。そこで、局所的に絶縁体化したグラフェンをフラット電極として利用することで、単一ポリジアセチレン鎖の電気伝導特性を計測する新たな手法を始めることにした。より信頼性のある結果を得られると期待できるが、当初の計画から変更を伴う分、結果がでるまでに当初計画よりも時間がかかってしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成27年度は、局所的に絶縁体化したグラフェンをフラット電極として利用することで単一ポリジアセチレン鎖の電気伝導特性を計測する研究を中心にして研究を進める予定である。平坦なグラフェン基板の作成、金属電極の取りつけ、局所的な絶縁体化、単一ポリジアセチレン鎖の作成を行い、電気特性の計測を行う。 また、ポリジアセチレン鎖と金属電極とが接触したときの界面における電荷移動の詳細について、走査トンネル顕微鏡(STS)等の手法を用いての研究も進める。
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