研究課題
昨年度までで、ClpBの六量体リング構造は円対称から非対称な構造に遷移したり、リングの切断や再形成が起こるなど、ATPの加水分解によりダイナミックな構造変化を起こしていることを明らかにした。本年度は、リング構造の揺らぎと脱凝集活性の関係を明らかにするために、脱凝集活性が増強されたHyperactive変異体(Y494D)と脱凝集活性が抑制されたRepressed変異体(E432A)の観察を行った。Hyperactive変異体では、ほとんどのリングが切れたヒモ状構造で観察され、一方、Repressed変異体では多くが対称リング構造をとることがわかった。このことから、リングの非対称・対称遷移やリングの切断・再生など六量体リングの柔軟な構造変化が脱凝集活性に重要であることが示唆された。凝集基質がどのようにClpB六量体に取り込まれるかを調べるために、YFPとClpBを融合した試料を作製した。これにより、今後ClpBによる基質の脱凝集が実際にどのように起こっているか、直接観察することができると期待される。回転モーターであるV1-ATPaseの回転軸(DFサブユニット)を取り除いたA3B3六量体リングの高速AFM観察を行った。ヌクレオチド非存在下でも六量体が非対称な構造をしており、結晶構造とよく一致した結果が得られた。さらに、ATPの加水分解によりOpen構造をとるAサブユニットの位置が反時計回りに順番に遷移していく様子が観察できた。この結果は、V1-ATPaseもF1-ATPaseと同様に、回転軸がなくてもATPの加水分解がリング内で協同的に起こっていることを示している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 10件) 図書 (1件)
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 8724
10.1038/srep0872
Nano Letters
巻: 15 ページ: 1331-1335
10.1021/nl5045617
Nature Communications
巻: 5 ページ: 2975
0.1038/ncomms4975
日本応用糖質化学会誌
巻: 4 ページ: 107-112
膜誌
巻: 39 ページ: 322-328
日本物理学会誌
巻: 69 ページ: 459-464